今月の活動

2011年2月講義(3年生)

2月12日(土)

前半:野村講師

1期生のみなさんは今週で卒業し、本格的な活動のスタートに立たれる。今回は最後の授業なので、難解なマヤズム論についてもう復習した。

病は大きく急性病と慢性病に分けられる。慢性病は人類の歴史の中で徐々に悪化して複雑化してきているとハーネマンは言う。一方急性病は、両者の特徴から慢性病の正反対に位置する存在だと考えることができる。(オルガノン§72)。

適切なレメディとは、ある人の全体像にもっとも類似した症状像を引き起こすことができるもののことだ。つまり自分の病に「正面から向き合わせる」働きを持つ。

ある出来事を不都合だと感じるのは、その人の感受性によるものであり、感受性の異なる人には大した影響を及ぼさない。つまり不都合と感じるのは自らの感受性(慢性病)のせいであり、それが癒されれば問題は消えたのと同然となる。

正しいレメディは、「あなたの慢性病はこういうものだ」とその人に向き合わせるものであり、問題を直視する痛みとして一時的な悪化(急性病)が熱とともに起きる。

誰でも病には原因があると考えたくなるが、オルガノンによると慢性病には明確な原因は存在しない。もしある要因を取り除くことによって、もしくは足りないものを補うことによって病が癒されるなら、それは大した問題ではなく慢性病ではない(§77)。

原因だと想定するものを外部に見いだし攻撃することでは問題はいつまでも解決せず、むしろ悪化する。問題(慢性病)は常に自分の中にあるからだ。

ホメオパシーに携わる者として、このことを時に念頭に置いて活動を続けていただけたら、と願い卒業される生徒さんたちへのエールとした。

後半:荻野千恵美講師

ケース学習前に、これまで繰り返し確認してきたオルガノンの該当箇所の原文を読み、改めて生徒さんにまとめてもらった。
オルガノン§83・84の要約
§83 症例を”個別化”したものとして捉えるためには・・・

A)偏見を持たないこと。
B)健全な分別を持つこと。
C)症状像を注意深く観察すること。
D)忠実に記録すること。

§84 セッションでの心構え:
A)感覚器官を総動員して、
B)患者に起こった変化と異常を
C)患者と同じ表現で、
D)全てを、
E)正確に記録する。
F)自分は黙ったままで、患者と家族に話をさせる。
G)話をさえぎってはならない。

その上で、講師自身がケースを取り始めた頃のある印象的なケースについて一緒に学ぶことにした。

当時、クライアントさんにお渡ししたレメディは、質感を捉えていないと選べなかったと思う。それで、ケース紹介した直後に生徒さんが受けた印象について、その感覚的なものを言葉に置き換えてもらった。生徒さんたちは本当に良いセンスを持っていると感じた。
みなさん、良いホメオパスになると思う。

この第一印象の質感を持ったレメディを選ばないといけないことを強調しながら授業を進めた。鉱物レメディなので周期律表的な面からの理解もしてもらえたと思う。