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6月授業報告(2年生)

Lil-t Verat

今月は、「5月のレメディの復習(Anac.Ferr.Lac-c.)」「オルガノン学習(§100~109)」「今月のレメディ学習(Lac-d.Lil-t.Verat.)」「古典的ケース学習(レパートリーに慣れる)」を学びました。(画像は、ユリ科の2つのレメディ原料:タイガーリリーとバイケイソウ)
「今月のレメディ学習(Lil-t.Verat.Lac-d.)」

Lil-t.は、タイガーリリー(鬼百合)から調整されるレメディです。授業の初めに生徒さんに事前に調べて来てもらった原材料情報を発表してもらいました。

このレメディの精神症状は、ユリ的な宗教性・罪悪感とトラ的な野生性やパッションの間での葛藤が特徴的です。その葛藤から逃れるためにいつも急いで、一度にたくさんのことをしようとします。自分の重要性を強く言い立てることもあります。ユリ科のレメディの共通項は、世間から押し出されて見捨てられたような感覚を持っていることです。

体質的には、温血で、外気の中を歩くと全体に好転します。身体的特徴は、セピア(甲イカの墨から調整されるレメディ)と同様に、骨盤内(腹部・子宮)に押し下げられるような感覚や、心臓をグイッとつかまれるような感覚を持つ場合が見られます。

 

Verat.(バイケイソウから調整される)は、タイガーリリー同様ユリ科の植物レメディです。コレラと関係の深いレメディですから、授業ではコレラについての解説から始めました。
このレメディは、かつて欧州でコレラが蔓延した時にハーネマンが使って成果を上げ、名声を得たことで知られるレメディです。コレラのように、米のとぎ汁様の激しい下痢と嘔吐とひどく衰弱した状態に、活用されてきました。
このレメディの精神症状には、社会的な地位を失ってしまったという感覚があり、いかなる手段を用いてもそれを回復しなければならず、そうしないと自分は終わりだと感じているような方に適しています。富や自分の重要性を示すことがVerat.の際だった特徴であり、これを使って“失った社会的地位”を埋め合わせようとします。
最後に、Verat.の精神症状と消化器症状の特徴的症状の一覧表(ルーブリック)とユリ科の感覚(センセーション)の図解をご紹介しました。
生徒さんの古い友人に、このレメディにかなり類似した方がおられることが分かり、以前は不可解に感じていたその友人のユニークな言動の意味が理解出来たようです。

 

Lac-d.は、牛の乳(脱脂粉乳)から調整される動物レメディです。
生徒さんには、事前に現物質の情報を調べてきてもらいました。その中で、とても興味深いお話がありました。人と牛との関わりは古代からあり、ミトラス教の生贄としての牛の存在(ミトラス神が牛の頭部に剣を突き刺す)です。古代絵画には聖牛を生贄にする儀式を通じて生命力が解放されるさま(豊穣崇拝)が描かれているようです。

このレメディは牛乳の成分特性だけでなく、人間に使役される家畜としての乳牛の悲しさを反映しているレメディでもあります。もしかすると、24時間働かないといけないような職場で働く人たちの中に、このレメディを必要とする方もいるかも知れません。

身体面では、特に頭痛症状が特徴的です。著名なレメディNat-m.(塩から調整される)に似た点もあります。事実、脱脂粉乳には塩化ナトリウムが含まれています。
一般には栄養不全や貧血症状のため、疲労困憊している場合に適しています。また、トイレを閉めて用を足すことができないような閉所恐怖症のケースにも使われてきました。
他には、冷え性、肥満、牛乳不耐性などが特徴的な点です。