今月のレメディ
Falco peregrinus 隼
日差しの明るさに、春の気配を感じるようになりました。
こんにちは。CHK荻野千恵美です。
私たちが京都市内から滋賀県に引っ越してきてから、まもなく4年が経ちます。
私たちが暮らしているのは、JR琵琶湖線、京都から2つ目の「大津」駅の近くです。
京阪石坂線の「びわ湖浜大津」駅にも近いです。
初めて「びわ湖浜大津」の駅に降り立った時、私は、まるで、日本ではない、
どこか外国のリゾート地にでも来たかのような気がしました。
からりと明るい青空の下に広い広い湖面がキラキラ光り、
湖からさわやかな風が絶え間なく吹いてきていました。
「びわ湖浜大津」は、滋賀観光のスポットの1つ「なぎさ公園」の
スタート地点でもあり、ここから、石山駅付近まで4.8kmにわたって、
湖畔の景観を楽しみながら散策できる遊歩道が続きます。
私は、滋賀に住み始めてから「びわ湖浜大津」のすぐそばの
「なぎさ公園」をよく散歩するようになりました。
琵琶湖を周遊する遊覧船が泊まる大津港。
噴水やアートな巨石モニュメントのおかれた広い広い芝生の広場。
広場には、琵琶湖畔を越冬地にする様々な水鳥たち。
1年中広場に遊ぶスズメやハト、セキレイ。
空高く1羽で舞っているトンビ。
遊覧船の会社に飼われている数匹のあひるまで。
様々な鳥たちを観察することとなりました。
群れの結束力の強さ。
雄雌のわかりやすさ。
同じ水鳥でも、陸地で餌を啄むものや、いつも水面にいるもの。
人間に対する敏感さや距離感。
鳥の種類によって様々です。
でも共通しているのは、2本の足で地面を歩くときのおぼつかないような
弱弱しさと、空を飛ぶときの自由で強く美しい姿です。
鳥には、人間には考えられないような自由があります。
風に乗って軽やかに、空高く速く飛ぶ姿は、
地上を歩く能力しかない私には、あこがれの存在です。
今回は、「鳥」のレメディをご紹介したいと思います。
(2016年にブログでもご紹介しました。https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12188854477.html)
<Falco peregrinus 隼>
過日の3年生のレメディの授業では、私は動物のレメディの授業を担当する
ことになりました。
専門コースでの勉強も3年目にもなると、ある程度の動物レメディを学んで
いますので、まずは、それらをすべてホワイトボードに書き出し、
全体から出てくる質感(エネルギー)を味わってもらうところから始めました。
動物レメディといっても、そのレメディの中心となるテーマは、千差万別。
インドのDr.サンカランは、鉱物・植物・動物と、三界に共通するテーマを
明確に表現されていますが、自分たちがクラスで学んだレメディを並べ、
眺め、話し合って味わってみると、Dr.サンカランの示したものとは
また違った言葉が出てきて、理解がより深まりました。
動物は、鉱物や植物と比べると、動くことができ自由度がはるかに高い存在です。
でも、学んできた動物レメディ(Sep.Lach.Tarent.Lac-c.Lac-d.Bufo.等)を
ホワイトボードに書いて、眺めてみると・・・。
生徒さんからは“重たい”といった言葉が出て来たのです。
早く飛べたり、泳げたり、踊ったり、俊敏に動くことができる能力を持った
存在なのに・・・。
動物は、自分を維持するために、常に食べるものを求め、
パートナーを求め、ライバルとの競争にさらされる存在。
動物レメディを必要とする人は、動く自由を持っているのに、その心には、
動く自由のない鉱物や植物レメディにはない、不自由さ、”重たさ”が
あることに気が付きました。
本当に不思議です。
今回学んだのは、ハヤブサのレメディです。
英国のスクールオブホメオパシーのミッシャ・ノーランド先生(故人)が
プルービングされた比較的新しいレメディです。
誕生してまだ、20~30年くらいではないでしょうか。
10年ほど前、ミッシャ先生のセミナーに参加した際に、先生がこのレメディを
プルービングしようと思い立ったいきさつなどを教わり、強い衝撃を受けました。
CHKの授業では、まずは、隼(ハヤブサ)の姿を見てもらいました。
人の拳に乗せることのできる、カラスと同じくらいのサイズですが、
食物連鎖の頂点に立つ猛禽類だけに、美しく凛々しい姿をしています。
正式名は、Falco Peregrinus (Falco-p.)
生息地は世界中に分布しています。
北の方に住むものは、越冬のため温帯や熱帯地方に渡りをします。
Periguriumというのは、「放浪する」という意味を持ちますが、
渡り鳥であることから付けられた名前のようです。
身体は美しく適度な大きさで、高い狩りの能力を持つ隼(ハヤブサ)は、
東洋でも西洋でも紀元前から、鷹狩りの鳥として飼いならされてきました。
ミッシャ先生がプルービングをしてレメディにしたのは、
自然に生きるハヤブサではなく、鷹狩りに利用されてきたハヤブサの羽根です。
日本では、徳川家康が鷹狩りを好んだことでは有名です。
鷹狩りは、ハヤブサを調教するところから、大変な労力と技術が必要なため、
庶民の楽しみではありませんでした。
王侯貴族の嗜み。
支配者が権力を誇示するためのパフォーマンスでもあったようです。
鷹狩りのために調教されるハヤブサは、翼が十分育つまでは、
両足には紐がかけられ、暗い小屋の中で、自由を奪われた環境で育てられます。
餌を自分で取ることはさせず、常に鷹匠の手から与えられます。
餌は、相当な時間与えず、半暗闇の中で、空腹と疲労のため限界まで待ち、
手袋をした拳の上で一口与えます。猛禽でも、飢えさせられた状態になったら、
鷹匠の手袋に足を乗せるようになります。
このようにして、徐々にハヤブサは、給餌されることと、
持ち歩かれることに慣れてきます。調教されたハヤブサは、
自分で捕まえた獲物を食べることはありません。
常に、手袋をはめた拳の上で鷹匠から与えられた餌を食べて生涯を送ります。
そして、手袋をはめた拳を示されると常にそこに戻るようになります。
狩りのとき以外は、足は常にひもでくくられ、
周りの刺激で興奮しないように目隠しの帽子をかぶせられて飼われます。
日本では、昔から、隼人(はやと)という名前の男の子がいますね。
薩摩隼人というところからとった、男の子らしい良い名前だと思います。
隼人というのは、古くは、薩摩・大隅(鹿児島県)に住む人のことを言ったそうです。
最初は大和政権に反抗したようですが、やがては支配下に置かれました。
熊襲(くまそ)と呼ばれていた人たちも同じような立場の人たちでしたが、
こちらは、ずっと反抗的な存在として歴史の記録に登場します。
熊襲とは違い、隼人は、天皇や王子たちの近習としての記述が多いそうです。
なんだか、このレメディのエネルギーに近いものを感じます。
テキストとしてCHKで使っているマテリア・メディカ“FocusMM”には、
このレメディは載っていません。
作者は同じですが、“Synoptic Reference”には登場するので、
授業では、その記述をご紹介しました。
Falco-pのページに出てくる症状は、
ハヤブサの身体的な特徴を表わすものが、いくつもありました。
そして、鷹匠に扱われる存在としての苦しみ。
私は、このレメディは、今までにも授業で取り上げてきました。
でも、今回、私が強く感じたのは、鷹匠に古代から人間に
このような扱いを受けてきた鳥をレメディの原材料とすることを思いついた
ミッシャ先生のホメオパスとしてのセンスでした。
ミッシャ先生のセミナーでのお話では、親からの様々な虐待を受け、
逃げても逃げても、逃げきれなくて苦しんでいる人がいて、
様々なレメディを使っても癒し切れなかった。
いろいろ思い悩むうち、鷹狩りに使われているハヤブサを
レメディにすることを思いついた・・・ということでした。
素晴らしい身体能力と、美しい姿、狩の技術をもったかっこいいハヤブサと、
鷹匠に飼いならされて、不自由なままに生きるハヤブサの存在としての落差。
生徒さん達の反応は、この落差に対するショックが一番でした。
生徒さんからは「こんな人、私のまわりにもいる。あの人かも・・・。」
そんな言葉が漏れました。
自然界に生きる動物の苦しみは、人間のなかにも反映されている。
そして、その苦しみを和らげる術がホメオパシーにはある。
今回の授業では、そんな感動を、生徒さん達の反応から頂いた気がしています。
金のレメディ「Aurum」そして「自然界の声を聴く」
こんにちは、CHKの荻野哲也です。
今月は、私が、レメディについて書いてみます。
先月は、銀のレメディ「Arg-n.(硝酸銀)」のご紹介をしました。
今月は、金のレメディ「Aur.(純粋な金)」のお話をしたいと思います。
その前に、みなさんはホメオパシーのレメディとは、何だと思われますか?
ご存知のように、レメディは、ものすごく薄めてあります。単純に薄めたものではありません。作り方は、100倍に薄める(希釈)ごとに、振盪(摩擦を加えて)して作ります。
金や銀という自然界の物質を原料にして、希釈・振盪を繰り返すと、元々あった自然界のモノは、どう変容するのでしょうか?
そこには、もはやモノはなく、金や銀に内在していた潜在力が、立ち現れて来るのです。
この自然界のモノにどのような潜在力があるのかを確かめるのが、プルービング(人体実験)というものです。
プルービングは、レメディを健康な人たちに含ませることで、人の心身全体に現れて来る感覚や精神/感情症状・身体症状を確かめて、記録してゆくものです。
いわば、もの言わぬ自然界(動物・植物・鉱物)の内なる声を、人間が代弁するようなものです。その声をまとめたものが、レメディの効能書「マテリア・メディカ」です。
私達、ホメオパスは、プルービングを通じて生まれたレメディの不思議な潜在力を感じるにつけ、ホメオパシーという経験科学の持つ魅力に惹かれてしまいます。
このレメディのお話シリーズでは、自然界の声に耳を澄ませて行きます。
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では、金のレメディのお話を始めましょう。
金から作られるレメディは、『Aur オーラム』と呼びます。
金は、太陽のように美しく光り輝く鉱物です。
人類が発見した最古の金属といわれています。
やわらかく加工しやすいため、古代から、さまざまな工芸品や装飾品が作られてきました。展性に優れているため、叩いて薄く延ばせば、1gの金は1平方メートルにも広がります。延性にも優れ、1gが28Kmにもなります。展性・延性いずれも鉱物の中で1番です。
また、耐久性に優れ、空気中または水中では、永久に錆びたり朽ちたりしません。
そして、なんと言っても、採掘量が非常に少ない。
ですから、古代から貴金属として、誰もが欲しがるあこがれの存在でした。
この輝きと希少性のために、富と権力、永遠の価値の象徴として珍重されてきましたが、それゆえに、人間同士の争いの種となり、多くの悲劇も生んできました。
歴史的にも、古代エジプトでは、王以外が使うことを禁じられていたとか。
世界各国で貨幣としても使われてきましたが、庶民が手にすることのできるものではありません。
オリンピックで最高のパフォーマンスができた人に与えられるのは、金メダルです。
日本でも、室町時代は、足利幕府三代将軍、足利義光が建立したのが、金閣寺です。
東北の奥州藤原氏も、三代にわたって繁栄しましたが、そのときに建てられたのは、中尊寺金色堂。
このようなモノを原料とするレメディを必要とする人とは、どのような方でしょうか?
金のレメディには、どのような潜在力があるのでしょうか?
プルービングをしたら、一体、どんな声が聞こえるのでしょうか?
金のレメディAur.の授業のはじめには、モノとしての「金」について、話し合ったり画像を見たりしながら、色々イメージしてゆくことから、始めます。
生徒さんたちは、自由に金のイメージを膨らませます。
ポジティブなイメージでは・・・
強壮・万能・完璧・王様・高貴さ。
地上に届いた太陽。
大切に扱われる。
・・・等など、力強く高貴なイメージです。
ネガティブなイメージでは・・・
孤独。一匹狼。ピークにいる(孤高)。
かまってほしい。愛に飢えている。
自意識が高い。懐疑的。うつ。
高いプライド「どう私を見なさい。」
重要な臓器にトラブルを持つ。
・・・等など、かなり緊張感が出てきました。
現実のAurを必要とする人は、このネガティブな感じに似て、重いものを背負い、とても高いところにいる孤独な人です。
ホメオパシーでは、Aur.の一番の特徴的な症状は、絶望感や憂鬱。そして、自殺傾向です。
例えば、このような特徴的な症状があります。
MIND; SUICIDAL disposition; throwing himself from; height, a
(自殺的傾向:高いところから身を投げる。)
金の人にとって、背負った重みから解放される唯一の手段は、自殺です。
高いところにいる人なので、自殺のスタイルは、高いところからのジャンプです。
Aurは、責任感が強過ぎて良心の呵責や罪の意識を感じやすい人。
名誉心が強く、勤勉で働きすぎ。周りに弱音を吐きません。
限界を超える努力をしているので、批判や反対されることには敏感です。
自分に厳しすぎることからくる、自己非難、自己軽視、見捨てられた孤独感を持ちます。
笑ったり、楽しんだりすることが出来ません。誰ともうちとけず、一人ぼっち。
身体的にも、重い症状を持ちやすいです。
心臓・循環器、肝臓や腎臓、目、骨などに症状が出てきます。
Aurは、責任と関係が深いレメディですが、子孫を残す(生殖)ことも重い責任の一つかもしれません。Aurの人は、生殖器にも親和性をもちます。
また、Aur.は、分類上、もっとも絶望的で深刻、もっとも病の深いマヤズムに属します。
黄金に光り輝く、人々の憧れのモノがレメディになった時、暗く深刻で絶望的な症状を持つ人を癒やすものになる・・・なんて不思議でしょうか。
もし、あなたか、周りの誰かが責任を重く感じすぎて、心身の不調に悩んだりして、行き詰まっていたら、このAur.のことを思い出して下さい。
ではまた
ARGENTUM NITRICUM Arg-n. アージニット 硝酸銀
明けましておめでとうございます。みなさんは、どのようなお正月を過ごされましたか?
CHKの荻野千恵美です。
我が家のお正月は、独立して出ていった子供たちや孫たちが帰省し、久しぶりに家族がそろう時間となりました。初詣には、元旦には徒歩で行ける三井寺に、2日には、これも電車ですぐの石山寺に、皆でお参りしました。帰り道にある甘味処「茶丈藤村」では、瀬田川を眺めゆっくり出来ました。
正月も三ヶ日が過ぎ、再び、夫婦二人に戻ったとき、あらためて今年は新たなメッセージをお送り出来たら・・・などと話し合いました。
アイデアの一つとして出てきたのが、CHKサイトの「レメディの使い方ABC」の第二弾をスタートするのはどうかということでした。
「レメディの使い方ABC」は、15年前に京都に来たばかりの私たちが楽しんだ京都のあれこれと始まったばかりのCHKの学校生活、そして「基本講座」に登場するレメディ達を3年かけてご紹介しました。
第二弾は、今、私たちが住んでいる滋賀ライフのつれづれと、専門コースで勉強しているレメディ達をご紹介していきたいなと考えています。
まずは、去年の11月、1年次で勉強したレメディについて、ご紹介していきたいと思います。
2022年度CHK国際セミナー『ホメオパシーの4原則』終了しました!
2022年度のCHK国際セミナー/ジェレミー・シェア先生によるWeb特別講義は、無事終了しました!
講義内容は、フィロソフィー・マテリアメディカ(レメディ)・プルービング・レパートライズ・ケース学習と多岐に渡ったものでしたが、講義全体を『ホメオパシーの4つの原則(全体性・個別性・類似性・最少投与)』で貫く明快な内容でした。
実際に、この10年以上、タンザニアで、ジェレミー先生たちがエイズ患者さんたちに関わる中で、その困難を乗り越える原動力になったのは、この4つの原則に則った実践をして来られたからだと理解することが出来ました。
3日間の講義を通じて、参加者全員が、深い感銘を受けたことが伝わって来る素晴らしい講義でした。
2018年春から、ジェレミー先生が、世界中で展開しておられる「ダイナミススクール(ジャパン)」が京都で、開催されることになり、私たちCHKの専門講師3人もこの3年半、「ダイナミススクール(ジャパン)」で学び、今年2022年初めにようやく卒業しました。私たちは、その学びから多くのものを得ることが出来ました。同時に内容の素晴らしさに感動してきました。特に、2020年の年明け以来のCovid19(パンデミック)に対するジェレミー先生の向き合い方や実際の対応には大いに触発されました。専門コースの授業では、都度その感動をみなさんにもシェアしてきました。
2019年7月授業報告(1年生)
●7月27日(土)28日(日)
今月は「先月のレメディの復習(Nat-m.Ign.Sep.)」「オルガノン学習(§26~34)」「今月のレメディ学習(Puls.Phos.Calc.)」「ホメオパシー哲学(類似性・SRP・シングルレメディについて等)」を学びました。
「今月のレメディ学習(Puls.Phos.Calc.)」
今月からは、事前学習として、各レメディの原材料を調べて来てもらいました。レメディの原材料を知ることは、そのレメディの本質的な理解にとても役立ちます。CHKでは、数年前から、全学年でレメディ学習の時には必ず事前に調べて来てもらっています。
6月授業報告(2年生)
今月は、「5月のレメディの復習(Anac.Ferr.Lac-c.)」「オルガノン学習(§100~109)」「今月のレメディ学習(Lac-d.Lil-t.Verat.)」「古典的ケース学習(レパートリーに慣れる)」を学びました。(画像は、ユリ科の2つのレメディ原料:タイガーリリーとバイケイソウ)
「今月のレメディ学習(Lil-t.Verat.Lac-d.)」
Lil-t.は、タイガーリリー(鬼百合)から調整されるレメディです。授業の初めに生徒さんに事前に調べて来てもらった原材料情報を発表してもらいました。
このレメディの精神症状は、ユリ的な宗教性・罪悪感とトラ的な野生性やパッションの間での葛藤が特徴的です。その葛藤から逃れるためにいつも急いで、一度にたくさんのことをしようとします。自分の重要性を強く言い立てることもあります。ユリ科のレメディの共通項は、世間から押し出されて見捨てられたような感覚を持っていることです。
2019年5月授業報告(3年生)
5月18日(土)19日(日)
今月は、急遽、ライブケース実習をすることになりました。2日間の授業構成は、ライブケース中心に全面的に入れ替えました。
今月の授業内容は「ケースの取り方(オルガノン§83~99)」「ライブケース実習」「ライブケースの分析」「2回目の処方について」「レメディ学習(Mag-c.)」を学びました。
今回のライブケース実習では、講師がセッションをして、それを生徒さんが横に座って観るというスタイルで進めました。
「ケースの取り方(オルガノン§83~99)」
事前準備として、オルガノン§83~99の要約を再度、精読して、もし、自分がセッションするとしたら、どのように進めるかを念頭に臨んで頂くことにしました。
「ライブケース実習」
生徒さんからご紹介頂いたクライアントさんにお越し頂き、2時間ほどの時間を掛けて、野村講師がケースを取りました。最後に、生徒さん皆さんからの質問を受けて終了しました。
クライアントさんが、退席された後、ケースの確認後に、ざっと前分析までをしました。
そして、翌日の午後の授業までに、各人で、ケースの分析をして、「何が癒やされるべきか?(どのような乱れが起きているのか?)」を考える宿題を出しました。レメディを探すことも大切ですが、まずは、クライアントさんが、どのように病んでいるのか?(乱れているのか?)について考えて来てもらうことにしました。
「ライブケースの分析」(翌日)
「分析」では、生徒さん一人ひとりに、考えて来てもらった「病の中心(統合)」を発表してもらいました。皆さん、なかなか鋭い良い分析です。まとめとして、講師が理解したケースの統合を伝えて、皆さんの理解を確かなものにして頂きました。ホメオパスには、レメディを考える前に、ここまでをシッカリ理解しておくことが求められます。その後は作業的に進行します。最適な症状(Rubrics)を選び、いくつか出てきた候補レメディを絞り込み、最終的には、たった一つのレメディにたどり着きました。
ライブケース実習では、臨場感のある実践を通じて、これまでの机上の学びを自分のものにして頂く絶好の機会になると思います。
次回は、今回選んだレメディの評価のためのセッション「2回目の処方」をすることになります。次回が楽しみです。
そのことを想定して翌日の午前には「2回目の処方」について学びました。
2日間ともスカイプ受講者が過半数でしたが、臨場感のある授業体験をして頂けたのではないでしょうか。
2019年4月授業報告(4年生)
4月6日(土)7日(日)
4年生は、専門コース仕上げの1年になりました。
今月は、「インドのホメオパシー大学を卒業された柳沼さんの特別講義」「2月のレメディ復習」「オルガノン学習(§271~285)/最終」「レメディ学習(Bapt.Am-c.Pyrog.)」「セッション実習(SRPを捉える)」を学びました。(画像は柳沼さんの講義の様子)
「インドのホメオパシー大学を卒業された柳沼さんの特別講義」
柳沼さんは日本人で初めてインドの国立大学医学部のホメオパシー科を卒業した先駆者です。インド・コルカタ大学での5年半に及ぶ学生生活での興味深いお話をシェアして頂きました。
大学で学ぶホメオパシー専門教材や試験制度や大学主催の無料診察(学生実習)の様子など、映像を交えての授業をして頂きました。
2019年3月授業報告(1年生)
3月2日(土)3日(日)
CHKの今年度最後の授業は、1年生の授業でした。
今回は、「先月のレメディの復習(Apis.Caust.Aur.)」「古典的ケース学習(レメディの中心を捉える練習+レパートリーを使う実習)」「今月のレメディ学習(Tarent.Calc-p.Naja.)」「急性症状への具体的な対処法」「レメディの作り方・実習」を学びました。(画像は、レメディ作りの実習の様子)
「古典的ケース学習(レメディの中心を捉える練習+レパートリーを使う実習)」
この古典的ケースを活用する授業は、5年ほど前から始めました。
20~100年以上前のホメオパスが結果を出したケース等を通じて、ケースにおける目の付け所を学び、既習レメディの全体像を再確認し、そして、レパートリーを引く実習にしてゆくことを目的にしています。
今年度の1年生は、春の授業から始め、年間で15例のケースを学びました。授業をしてみると、実践的で、生徒さんにとって、とても得るものが多いように感じます。
ホメオパシーの勉強をする上で、習得に時間が掛るのは、レパートリーを使えるようになることだと思いますが、古典的ケースに取り組む中でレパートリーを引くことで、自然に、その使い方に馴染んでゆくと、かなりハードルが下がる感じがしています。
「急性症状への具体的な対処法」「レメディの作り方・実習」
最初に、急性と慢性との違いについて確認をしました。ホメオパシーでは、この区分は重要です。
そして、急性症状の具体例を材料にして、急性症状への具体的な対処法(飲み方や繰り返すタイミングなど)を学びました。
引き続き、実際に、一人ひとりで、レメディを作る実習をしてみました。
出来たレメディ溶液を乳糖粒の入った瓶に垂らすだけの簡単な実習ですが、実際に皆さんが自分の手で作る作業をするのは、生まれて初めてなので、とても新鮮な経験になりました。あまりにも簡単にできることに驚かれたようです。
新年度の2年生(中級コース)からは、急性から慢性症状に重点が移って行きます。
ホメオパシーへの興味が、より深まってゆくことでしょう。
2019年2月授業報告(2年生)
2月23日(土)24日(日)
今月は「先月のレメディの復習(Cic. Cupr. Cimic.)」「オルガノン学習(§154~164)」「ケース学習」「レメディ学習(Elaps.Nat-c.Cycl.)」「修了式」という内容でした。(画像は、Elaps.サンゴヘビ)
「レメディ学習(Elaps.Nat-c.Cycl.)」
Elaps.は、ブラジルサンゴヘビから調整される動物レメディです。
授業では、皆さんが事前に調べて来られた情報を発表して頂いた上で、これまで学んだ蛇のレメディの比較からはじめました。
Elaps.は、大蛇のLach.などと同じように蛇類から調整されるレメディです。ミミズのように超小型の蛇ですが、他の蛇に劣らない強い毒を持っています。赤黄黒色の派手な横縞模様をしていて、カラフルで、ちょっとお洒落な印象があります。
他の蛇類のレメディ同様、血液の問題にしばしば利用されて来ました。このレメディにマッチする人は、出血色が黒いのが特徴で、冷えに対して敏感です。特に冷たいものを飲んだりすると胸や胃にひどい冷えを感じ、引き続き全身が悪化してしまいます。落下することへの恐怖心が特徴的です。また人付き合いは苦手で、田舎に引きこもりたくなるようなタイプです。食べ物では、サラダを好みます。右側優勢レメディです。(Lach.は左側優勢レメディ)
ある生徒さんの知り合いの方が、このレメディにピッタリなようで、その方のプロフィールをシェアしてもらいました。
Nat-c.は、炭酸ナトリウムから調整される鉱物レメディです。
皆さんからは、事前に調べてもらった炭酸ナトリウムの情報を発表してもらいました。
Nat-c.は、原材料情報からもマテリアメディを読んでも、そのレメディ像を理解することが難しいので、周期律表を材料にして、そこからレメディ像を理解してもらいました。
Nat-c.の方は、一般に音楽(音)に対して敏感です。特にピアノの音からの影響を受けやすく、それによって気分が悪くなったり、逆に良くなったりします。全般に敏感さが特徴で、音、日光や熱(熱中症の際、よく利用されます)に大きく影響されます。化学物質過敏症の方にもしばしば適用例があります。
身体面では消化器系が弱く、牛乳が苦手です。足首が弱い著名なレメディで、捻挫しやすいのも特徴です。精神面では、特定の人間が苦手になりやすく、例えば、内心、夫や家族がとても苦手で、人知れず我慢しているかも知れません。でも同時に、彼らに強く依存もしているので離れてしまうことは少ないでしょう。
Cycl.は、サクラソウ科シクラメン属の球根性多年草から調整されるレメディです。
皆さんからの現物質情報をお聞きしてから、マテリアメディカ等を読んで行きました。
特に、Cycl.だけにしかない症状(Single Rubrics)の一覧を順に読んで行き、このレメディ固有の質感を伝えました。
このレメディは、Cyclamenの語源の「旋回」と関係した諸症状が特徴です。
身体面では、めまい発作。精神面では、自責の念・自己非難の気持ちになりやすい。
身体面は、Puls.に似て、精神面は、Nat-m.に似ています。Puls.のように、油っこいものを食べると不調になり、喉もあまり渇きません。寒がりです。Nat-m.のように、悲嘆傾向が強く、自責の念を強く持ちます。加えて、Cycl.の特徴は、めまい症状と視野の問題が起きやすい点です。
「修了式」
授業の最後に、中級コースの修了式をしました。みなさん、お一人ずつに、この1年のことと今後の抱負について、お話して頂きました。想像以上に充実した1年だった方が多く、良かったと思いました。