今月の活動

2013年9月授業(2年生)

9月21日(土)荻野千恵美講師

10月に開催されるCHK国際セミナーを前にして、昨年度の国際セミナーのおさらいをしました。生徒さん達に去年と今年をつなぐ「準備運動」をして頂こうと思いました。

今月の講義は、大きくは2つありました。
・昨年のセミナーのテーマであった「マヤズム」の理解を深めておくこと
・今年のセミナーのテーマになる「植物レメディのファミリー毎の特性」の基本について

●マヤズムについて
マヤズムとは、200年近く前に、ハーネマンが発見・提唱した独自の考えです。マヤズム(Miasma)の元々の意味は沼沢地から出る毒気・瘴気のことです。
ハーネマンは「慢性病の土壌」のようなものをマヤズムと呼びました。それは今の言葉で言えば、遺伝的体質のような根の深いものです。どうしたらその体質(土壌)を癒やせるのか?という問題提起をし、ハーネマンは12年間かけてその解決法まで見つけました。

このマヤズムを癒すことが、ホメオパシーのセラピスト(ホメオパス)の役割になります。ただ残念ながら単純にマヤズム専用のレメディが決まっているわけではありません。マニュアル的対処は出来ないのです。
マヤズムを癒すためには、「その人の症状の全体像」を丁寧に見て行く必要があります。それがマヤズムへ対処するための唯一の方法です。

また、200年前にハーネマンが提唱したこの独自のマヤズム論と現代の考えには大きな差がありますから、混同しないように気を付ける必要があります。

このことを、オルガノンや昨年の国際セミナーの記録を読みながら、皆さんと一緒に考えて行きました。

●植物レメディのファミリー毎の特性について

どんな植物も、ある属や種に属しています。
ホメオパシーでは、同じ属や種の植物ファミリーには、そのグループ共通の傾向があると考えられるようになりました。

例えば、ファミリーには、キク科、ウルシ科、ナス科、マチン科などがあります。そして、例えば、ナス科の植物に共通した感覚は、暴力、突然の、割れる、破裂する・・・などです。

この考えは、ここ10~20年の新しいものです。
これを利用することで、ホメオパスが使えるレメディの幅が格段に広がりました。
21世紀に生きる私達は、200年のホメオパシーの歴史を踏まえ、その間の先輩達の貴重な経験を引き継いで来たおかげで、本当に多くのレメディを活かせるようになりました。

今回学んだ「マヤズム」も「植物のファミリー毎の特性」も、より正しいレメディ選びには、なくてはならない新しい考え方です。

授業の最後には、生徒さん同士でお互いがどのマヤズム傾向が強いと感じるのかを意見交換する時間にしました。5期生は互いに仲が良いせいかそれで大いに盛り上がりました。

9月22日(日)荻野哲也講師

まずは、オルガノン学習から始めました。§68~70の単元です。
§1~70までが、基本原理の概要が記してあるところです。その一番最後の部分です。
入学以来、毎月、読み続け、ここまでたどり着きました。毎月、皆で声を出して精読するのは、地味な学習方法ですが、本当に身についてきたと思います。

今月のレメディ学習はTher. Zinc. Dros.の3つです。(写真はDros.=ドロセラ)

久しぶりにレメディ学習を担当したせいか、まずは、講師自身が楽しかった!

Ther.は動物(蜘蛛類)レメディです。非常に音に対しての感受性が高く、音を聞くと、骨や歯にまで響いて、精神的にも影響されてしまうという際立った症状があります。
Zinc.は、鉱物レメディで、不穏な気持ちを持っていて、ついつい足が落ち着きなく動いてしまう方に適しています。
Dros.は、植物(食虫植物)レメディです。疑い深いさが際立ち、身体面では、百日咳によく利用されてきた著名なレメディです。

原材料は、三界に分かれていますが、いずれもTBマヤズム(結核体質的な傾向)を持っています。このマヤズム傾向の特徴は、息苦しくてそこにはいられない感じがあり、常に変化を求めるものです。

先月の3年生の授業から、少しレメディ学習の方針を変えています。
レメディについて学ぶ重点を、より身体症状に置くようにして学ぶようにしました。
心と身体は密接に繋がっています。身体面の全体像について重点的に学ぶことで、精神面のより深い理解につながることが分かってきました。

オルガノン要約(抜粋)

§68 レメディは非常に微量であるので、治療後にレメディの影響が残っていてもすぐに消える。生命エネルギーは病的な撹乱が消滅した後はあまり努力する必要がない。

§69 アンティパシー薬による反対の症状によって病気を根絶しようとするが、それは不可能である。
わずかな期間だけその症状を生命エネルギーに気づかれないようにするだけで、その後薬の症状と逆の状態を強制的に生じさせる。これは根絶されずに残った自然の病気による撹乱状態ともいえ、必然的に激しくなり大きくなる・・・(略)

§70 
・治癒すべきもの:患者の状態の変化の総体(全体像)においてのみ存在する。病とは健康状態の撹乱のことを言い、その病は全体像を通じて適するレメディを要求して来る。
・治癒力の本分は、病の症状をその元から刺激すること。それによって撹乱状態を本来の健康状態に変化させることが出来る。
・治癒力はプルービングによって、正しく知ることができる。
・薬の症状と類似していない病を治癒することは決してできない(アロパシー)。
・反対の症状を生み出すもの(アンティパシー)で緩和できるのは一次的であり、慢性的な重い病を治癒することには全く適さない。
・ホメオパシー:症状の総体(全体像)に対してできる限り類似した症状を生み出すことができるものを適量(微量)使用する。生命エネルギーへの類似した撹乱によって症状は必ず永遠に消滅する。