今月の活動

『Cactus grandiflorus(Cact./カクタス)』

Cactus画像4

皆さん、いかがお過ごしでしょうか?

CHK荻野千恵美です。

3月に入り、少しホッとしているところです。
2月は4学年ある専門コースでの年度最終授業月だからです。
4年生は、2月授業を最後に卒業(修了)されて行きます。
嬉しいと同時にさびしい気持ちになります。
そのたびに、時間の過ぎ行く早さに驚かされます。

また、2月23日には「シェディングに対してホメオパシーでできること」という
テーマで特別セミナーを開催しました。
(シェディングとは、接種者から受ける影響から起きる不調のこと)
京都四条教室参加者・Zoom参加者ともに多く、満員御礼の大盛況でした。
参加者の皆さんの体験談やご質問からも、想像以上に多くの方が、
様々な影響を受けておられることを知ることにもなりました。

メイン講師は、築島栄里子さんにお願いしました。
彼女は、私たちCHKの講師たちと、ダイナミススクール(2017~2022年京都開講)で
「流行病に対するホメオパシー的アプローチ」を共に学んだ方です。
彼女の3人のお子さんたちが、周りの友人等から受けた厳しいシェディング体験談。
ホメオパスとしてシェディングによる不調に陥った方々のために奮闘努力した体験談。
そして、何よりも彼女のホメオパシーに対する信頼と情熱と行動力・・・
そうした生の体験談から、会場は熱気に包まれました。

今月も、3つのうち2つの講座・・・
特別セミナー「動物・いのち・ホメオパシー」
春の公開講座「春の会」
・・・を開催させて頂き、いずれも盛況のうちに終了しました。

あとは、今月末の1つだけを残すところになりました。

入門セミナー「初めてのホメオパシー講座」

はじめてのホメオパシー(1回完結)(2024年 3月30日土曜日)Zoom受講可!|クラシカルホメオパシー京都 (chk-homeopathy.jp)

さて、
「今月のレメディ」は、シェディングに苦しまれた方に実際に提案したものの1つを
ご紹介したいと思います。
でも、シェディング=このレメディという決まったものではありません。
ホメオパシーは、シェディングに対しても個性・個別性を大切にして、選んで行きます。ご存知のように、ホメオパシーは一般病名・不調名称にとらわれることなく、
一人ひとりに対するオーダーメイドのアプローチです。
人の顔や性格や体質がみなさん違うように、レメディもその時その状況に合ったもの
(症状の全体に合うもの)から、まずは1つを選んで行きます。
『Cactus grandiflorus(Cact./カクタス)』

Cact.(カクタス)は、メキシコ熱帯雨林に生育する
サボテンを原料とするレメディです。

(以前のブログのご案内です。)

https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12319853317.html

日本での名前は、月下美人。大輪柱。
英語では、Night-blooming cereus. Queen of the night.
この植物の美しく、はかなげな姿そのままの名前が付けられています。

自生地のジャングルでは、老樹の幹、朽ちた木、腐葉土の上に根を張り育ちます。
波打った昆布に似た茎を生やし、1~2mに成長すると20cm~30cmの花を咲かせます。
まさに、大輪柱。

新月や満月の夜、1年に1回だけ咲きます。
夕方から香りを放ち始め、午後8時ごろに満開になり、
そのころに香りもピークとなります。見ごろは、たった2~3時間。

夜に花を咲かせるのは、ライバルが少ないからだといわれています。
暗闇で、目立つ白い花を咲かせ、強力な香りで
こうもりを引き寄せ受粉する。
日が昇ると花はしぼみ、香りも失せる。

花言葉は、「はかない恋。はかない美。あでやかな美人。秘めた情熱。」
「美人薄命」の語源になったとも言われています。

この植物の花や茎は、メデイカルハーブとして
不整脈や心不全の治療に使われてきました。

特徴的なのは、花だけではなく、茎の部分です。
まるで、蛇のような、蔓植物のような。
巻きつかれた木は、苦し気に見えます。

このレメディが持つ症状の一番の特徴は、
CONSTRICTION(締め付けられる)の感覚です。
心臓に、こういった症状を持ちます。
シェディングの影響を受けた方には「心臓が締め付けられるように痛い」という症状に悩まれるケースが何件かありました。そんな場合にとても有効なレメディになります。

レパートリー(レメディ検索辞書)には、以下のような症状があります。

CHEST; CONSTRICTION, tension, tightness; band, girdle, as from
胸がベルトできつく締め付けられるよう。
CHEST; CONSTRICTION, tension, tightness; Heart; grasping sensation
心臓が、固くぎゅっとつかまれる感じ。

締め付けられる感覚は、心臓だけではありません。
胸部、首、身体、膀胱、直腸、膣、子宮などにもあります。

THROAT; CHOKING, constricting; clothing agg.
喉が締め付けられ、窒息するような感覚が衣服で悪化する。
という、症状もあります。

これは、Lach.(ラケシス・蛇/ブッシュマスター)の代表的な症状の1つです。
サボテンなのに、蛇のような姿をしていますが、
蛇の代表格Lach.と同じ症状を持つなんて・・・。
Lach.も、心臓や循環器に症状を持つレメディです。
出血性や鬱血性の症状を持つのも、Lach.との共通点です。

Focusマテリアメディカ(CHKで使っているマテリアメディカ/薬効書)の
Cact.のページに載っている精神症状に、

MIND; DREAMS; falling 落下の夢
というのがあるのですが、この症状に入っているレメディの中に、
Elaps(サンゴヘビ)というのも入っています。
ここにも、蛇との関係性を感じます。

その他にも、蛇と言えば、Naja(インドコブラ)ですが、
このレメディも心臓の病気との関係は深いです。

植物の姿と、その植物を原料とするレメディが、
人の身体に起こす症状との類似性。
それだけでなく、その植物の姿に似た動物とも同じ症状をもつなんて・・・。
とっても不思議です。
私は、こういったところに、ホメオパシーの限りない魅力を感じています。

『Chocolate(チョコレート)』

チョコ画像フリー/20100107_1676478

こんにちは。CHK荻野千恵美です。

2月に入って、日々、少しづつ、陽の照る時間が長くなってくるのを
感じるようになりましたが、まだまだ厳しい寒さは続きそうです。

京都の寒さは、雪はさほど降らないけれど、独特のものがあります。
京都盆地の地下には、琵琶湖に匹敵するほどの水量の水がたまっているそうです。
大きな水瓶の上にのっている土地らしい。
だからでしょうか?
冬の日、街を歩いていると、なんだか冷水につけられているような辛さを感じます。

「京都盆地の地下には巨大な水瓶がある」

https://greengreengrass.hatenadiary.jp/entry/2022/04/08/145055

そんな季節ですが、自然は着々と春への準備を始めています。
野鳥たちは、春から夏にかけての子育てに向けて、
パートナーを見つけることに忙しい時期のようです。

2月14日のバレンタインデーも、聖バレンタインティノが処刑された日を
悼むことから始まったようですが、彼は、ローマ帝国の最盛期、
兵士の結婚を禁止されていたのもかかわらず、
若いカップルを何人も結婚させたという罪だったそうです。
処刑された日が2月14日だったのかは、本当は定かではなく、
この季節が、人々に熱い恋の始まりを求めるのではないかともいわれています。

バレンタインの2つの起源【小さな世界史70】(9分くらいの動画です)

https://www.youtube.com/watch?v=PffAoIP9ZyU

桜は、春の開花をまって、硬い枝先をつややかに光らせています。
小鳥たちは、ともにヒナを育てるパートナーを求めてさえずり始めました。
そして、人間たちは、女性から男性へのチョコレートを贈り、
新しい恋が芽生える季節なのかもしれません。

2月の寒さには、チョコレートが似合います。
口に入れると、優しく溶けて、暖かい気持ちにしてくれます。

今月は、チョコレートのレメディをご紹介したいと思います。

2018年12月にブログに投稿した記事です。

https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12423390184.html

 

『Chocolate(チョコレート)』のレメディ

チョコレートは、現代人の大好きなお菓子。
中毒になってしまう人もいるほどです。

チョコレートは、古くから使われてきたレメディではありません。
数十年前に、ジェレミー・シェアによって作られた新しいレメディ。
古典的なレメディだけではカバーしきれない、
私達現代人の苦しみに手を差し伸べてくれるレメディです。

まもなく卒業の日を迎える、4年生の皆さん達と学びました。

まずは、超簡単プルービングです。
カカオ80%の板チョコを口に入れることからはじめました。

口に入れた直後に感じ、それぞれの内面から出てきた言葉は・・・

気持ちが落ち着く。遠い昔の記憶。溶岩が溶ける。情熱。
フラメンコ。熱帯。熱い。安心感。しあわせ。頭痛。ずきずき。
濃厚。リッチ。晴れた日。渇き。黒人。カカオ。贅沢。覚醒とぼんやり。

・・・暖かく、やわらかく、口の中でとろけるチョコレートのイメージです。
チョコといえば、ベルギーやスイスといったヨーロッパで作られてきた
高級菓子のイメージですが、そもそもは、南米から伝わったもの。
カカオが原料です。
これも、コロンブスの新大陸発見によるものです。

チョコレートは、カカオの種子を発酵、
焙煎したカカオマスとミルクと砂糖をあわせたものです。

紀元前1000年頃には、メキシコの原住民はカカオ豆をすりつぶして食べていたそうです。
マヤ、アステカ文明の時代、カカオ豆はステイタスシンボルだったようです。
カカオ豆は、通貨としても使われていたし、
「知恵とパワー」を与えられるとしてチョコレートドリンクを飲んでいました。

ヨーロッパにもたらされたカカオは、スペインからイタリアへと伝わり、
17世紀にはロンドンにチョコレートハウスができました。
上流階級の社交場だったそうです。

その後、チョコレートは飲みものから固形のお菓子になり、
19世紀、スイスのロドリフ・リンツがコンティングマシン(滑らかに練り上げる機械)を
作ることにより、さまざまな形に加工できるようになりました。

ジェレミー・シェア先生は、30年以上前にダイナミススクールを創立して以来、
プルービングをずっと続けていますが、
2番目にこのレメディをプルービングしたそうです。

そのプルービングは、すばらしい体験だったようです。
マジックプルーバーと呼ばれる感受性の豊かな人がいて、
彼女の驚くような体験から、このレメディの情報がもたらされました。

不思議なのは、このレメディを飲んで、
彼女がハリネズミのような気持ちになってしまったということ。

小さく丸まりたくなったり、
赤い木苺、生きた昆虫をそのまま食べたくなったり、
とにかく、食べることだけに気持ちが傾いてしまい、
あらゆることがシンプルになったそうです。

それにしても、なぜハリネズミ?

ジェレミーは、戸惑ったそうですが
ハリネズミの特徴を考えると、このレメディが理解できたそうです。

ハリネズミって、天敵がいない動物。
敵がきたら、針を逆立てたら、みんな逃げていく。
だから、母親は、子供が敵に食べられてしまうということにおびえなくてもよいのです。
とても早く、親ばなれをする生き物。
授乳期が終わり、子離れの時期を迎えると、母親は、子供に対して針を立てます。
その瞬間、子供は、母親の元から去ってゆきます。
でも、本当は、もっと、甘えていたかった。
愛情がもっと欲しい。
早すぎる自立を求められたことから起きる病気。

これが、チョコレートのレメディのテーマです。

また、病理が逆に振れて、いつまでも自立できない病に適したレメディでもあります。

チョコレートは、20世紀、21世紀の食べ物。
それ以前の時代と比べると、田舎はともかく、街や都会は危険で一杯です。
交通事故、誘拐。
子供が外に出て、自由に遊べる環境ではなくなりました。
親は、学校への送り迎えをしたり、安全に目を光らせる必要があり、
子供は、なかなか自立することが出来ません。
母親が、過干渉の場合もそうです。

チョコレートは、新しいレメディなので、
古典的なマテリアメディカには出てきません。

“Synoptic Reference”
CHK専門コース用対訳マテリアメディカには、この本の抜粋を載せています。

Affinity(病の起きやすい部位)は、生殖系。中枢神経。ホルモン。

精神症状には、「家族」「夫」「子供」という言葉が多く出てきます。
症状ですから、家族を嫌ったり、いらだったり、家族や夫から逃げたかったり。
「愛情」「恋」「性」という言葉も目立ちます。

チョコレートは、口の中でやわらかく、とろけます。
まるでお乳を飲むときのような味わい。
実際のプルービングでは、お乳が張った人が多かったそうです。

チョコレートにはマグネシウムが多く含まれますが、ホメオパシーでは、
マグネシウムは「孤児のレメディ」と言われ、愛に飢えた人でもあります。
チョコレートの人も同じような側面を持ちます。

症状は、「不妊」「妊娠」「生殖」と続きます。
とても女性的なレメディ。

「ロマンティック」「不倫」「冗談」「活発と倦怠」
~成熟した、都会的なエネルギーです。

身体症状は、「心臓」「胸」「顔」「頭」
~血液がたくさん集まるところに出ます。

またジェレミー先生は、Carc.(癌細胞由来のレメディ)とも共通項があると
述べています。

どちらも、現代的、都会的な病と関係しています。
Carc.の人も、厳しすぎる環境で育った人だったり、
干渉しすぎる親、面倒見すぎの親に育てられていたりします。
動物的で自然な感じをなくした、あまりにも人間的過ぎる(管理過剰下の)人たち。
彼らは、動物が好きで、ロマンティックを求めます。

チョコレートは、人間にとっては、限りなく優しい癒しの食べ物ですが、
動物にとっては「毒」だそうです。
このことも、チョコレートのレメディを表現しているのではないでしょうか?

コロンブスが、アメリカ大陸から持ち帰ったカカオがヨーロッパで広がり、
今では極東に住む私達にとっても無くてはならないお菓子となりました。

「日本のチョコレートは、とても美味しい。」とジェレミーが言っていました。

日本には、このレメディを必要とする人が、とても多いのではないかしら。

『シクラメン/Cyclamen』

シクラメン画像2小

こんにちは。
CHK荻野千恵美です。

2024年は、元旦に能登半島に大地震が起き、翌2日に、日本航空機と海保機との衝突炎上事故がおきました。
お正月早々こんな大事件が起きるなんて、いったいどんな年になるのだろう?
日本中の人々の胸に、重苦しい思いがよぎったのではないでしょうか。

年明けに起きた大震災を知って、私も1995年1月17日の阪神大震災を思い出しました。
当時、神戸市に住んでいた私達も激震に見舞われました。主人は、脳出血発症直後で神戸市内のリハビリ病院に入院中でしたが、病院内も大混乱だったようです。知人友人からは、踏んだり蹴ったりですね・・・と慰められた?のを覚えています。

でも、時間は淡々と過ぎていきます。
お正月休みは、あっという間に終わり、日常の生活のリズムが整い始める頃にやってくるのが、商売繁盛の神様に詣でる「戎まつり」です。

例年、京都えびす祭りは、1月8日から12日まで行われています。

https://kyotopi.jp/articles/3SVS9

その他に西宮神社では、10日午前6時に表門(あかもん)が開かれると同時に、威勢の良い男たちが本殿めがけて駆け抜ける「開門神事福男選び」という恒例の行事が行われました。

各地で戎まつりで賑わう1月10日は、私たち夫婦にとっては、記念すべき大切な日です。
41年前の戎まつりの日の夜に、私たちの最初の子供が生まれました。

出産予定日は12月31日でした。お正月を過ぎてからの10日間は、どのような気持ちで過ごしていたのでしょう?・・今となっては全く覚えがありません。きっと大きなお腹を抱えて年末からそわそわしていたのではないかしら。

当時私達は、西宮神社にもわりあい近い、武庫之荘という町に住んでいました。そして、選んだわけではありませんが、お隣が産婦人科医院でした。
お正月休みも終わり、主人が出勤し始めて数日たった日の早朝、破水しました。ほとんど寝巻のまま、素足にスリッパをつっかけて、徒歩30秒のお隣の産院に行き、その日の夜、息子は生まれました。おぎゃーおぎゃーと大声で泣いて産まれた赤ちゃんが41歳のおじさんになりました。

残念なことに、当時は、ホメオパシーのことは何も知りませんでした。
自分が経験した妊娠・出産・育児について思いだすたび、当時の自分や子供たちに使いたかったレメディは、いくつもあります。使ってみたかったなあ。
今月は、今の季節、花屋の店先を賑わせている鉢植えの可愛いお花を原料とするレメディをご紹介します。

去年の7月にブログに投稿したものです。

https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12811919342.html

 
『シクラメン/Cyclamen』

冬になると、可愛い鉢植えのシクラメンが花屋の店頭を色とりどりに飾ります。

https://ozaki-flowerpark.co.jp/dictionary/1122/

この姿に、皆さんは、どんな感じを受けますか?

先週、3年生の授業で、生徒さん達とこのレメディを学びました。

シクラメンは、中近東、東地中海地方原産のサクラソウ科の球根多年草です。
その大部分は、北半球の温暖な気候の中で生育しています。
シクラメンの学名は、ギリシャ語のkyklaminosに由来し「旋回」という意味があります。
レメディにはこの植物の根を原料に利用します。

婦人科系の不調とも関係の深いレメディで、女性的なレメディの1つです。

このレメディはCHKでは、3年生か4年生で勉強します。この頃になると学んだレメディ数がずいぶん増えてきます。生徒さんたちから「なかなかレメディが頭に入らなくなってきた。」という声が聞こえてきます。

そんな時、私たち講師は、既習レメディの中で似た症状をもつレメディとの比較をしながら、授業を進めるようにしています。
もちろん、有名なマテリアメディカにもこういった記述は多く、Cycl.は「寒がりのプルサティラ」とか、「プルサティラとセピアの中間」と書かれているものもあります。
また、「精神的にはナットムール(岩塩)やオーラム(金)に似ている」と書いてあるマテリアメディカもあります。

精神症状でもっとも特徴的な症状は、

MIND; REPROACHES; himself
自責の気持ち。自分を責める人です。
この症状で有名なのは、ナットムール(岩塩)やオーラム(金)のレメディです。
この症状を持つレメディは、責任感が強くとてもまじめです。

鬱的な暗い気分でいることが多く、無口で、孤独を好みます。

同時にめそめそしやすい人でもあります。
「泣く」という精神症状の中でも、生理との関係が深く、黙って静かに泣くタイプです。
Cycl.は、以下の症状の中にあるレメディの1つです。
MIND; WEEPING, tearful mood; tendency; menses; before
MIND; WEEPING, tearful mood; tendency; menses; during
MIND; WEEPING, tearful mood; tendency; menses; suppression of, in
MIND; WEEPING, tearful mood; tendency; silence, in
生理前、生理中、生理を抑圧したときに泣きます。
泣くときは、静かに、だまって一人で泣くような人です。

身体面では、めまいと視覚障害が特徴的です。

シクラメンの学名は、ギリシャ語の「旋回」という言葉から来ているようですが、
まさに、Cycl.は、回転性のめまい症状で有名です。
VERTIGO; OBJECTS seem; turn in a circle, to  めまい;物が回転して見える。
VERTIGO; TURNING; circle; in, as if  めまい:まるで回転しているかのよう。

視覚障害が、めまい・頭痛・生理や胃腸の調子が悪いときに起きやすい人です。
VISION; DIM; vertigo; during   視野のかすみ:めまいの時に
VISION; DIM; headache; during   視野のかすみ:頭痛の時に
VISION; DIM; menses; during    視野のかすみ:生理中に
VISION; DIM; gastric complaints, and 視野のかすみ:胃の不調時に

視野のかすみ以外では、
VISION; FLICKERING  視野が点滅する
VISION; SPARKS  火花のように飛び散る

インドの巨匠、ラジャン・サンカランは、レメディ像を明確に教えるために、わかりやすい、典型的なタイプのケースを示してくれます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
患者は45歳の女性であった。過去14年間、ボンベイにある大きな会社でアシスタントマネージャーとしてキャリアを積み成功していた。ここ2・3ヶ月、足に非常に酷い湿疹が生じ、ジクジクして痛みが生じるという訴えであった。彼女は全くなにもできなくなり、どこにも行けず家にじっとしていなければならなかった。湿疹の原因としてなにが考えられるかと尋ねると、おそらく心理的なものだと答えた。ある家族的な問題があるのだということだったが、それ以上詳細を話したがらなかった。

そこで私は夢について尋ねた。彼女は「私は大便の夢を繰り返しみます。便が通過する夢や便が散らかっている夢です」と述べた。話している間、彼女は決して私を真っ直ぐに見ようとはしなかった。目をきょろきょろさせて、脇を見ていた。そこで私が「その夢について話してください」と言うと、彼女は「わかりましたドクター。私の問題についてお話します。私には精神遅滞の息子がいて痙攣発作を起こします。この子が発作を起こす時にきまって便の夢をみるのです。妊娠中に私は、たくさんの便があってそこから子供の頭が出てきている夢をみました。誰かが、それは神様はご存じでしょうが、その頭を押し戻そうとしていました。その時、私は子供が大丈夫ではないだろうとわかったのです」と述べた。
話している間、彼女は非常に素速く目を動かしていた。そしてほとんど囁くようにして付け加えた。「私はそれを避けることができたのではないかと感じています。なにかできることがあったのではないかと思うのです」。

14年間勤務している間、彼女は子供のことを誰にも話さなかった。彼女はあらゆる社会的接触を避け、パーティにも出ず、たとえ休日を取ることが許可されていてもどこにも外出しなかった。仕事においては非常に能率的であった。たとえ夫が助けてくれていたとしても彼女は自分ひとりで子供の世話をする責任を感じていたのである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

陽の光の少ない、一年で一番暗く寒い季節に、シクラメンは、小さな鉢の中に、白、赤、ピンク、紫など華やかな色合いで、健気に咲きます。
花の姿をよく見ると、めしべやおしべは地面を向いて、花弁は反り返るように上に突き立てています。

誰にも言えない辛く苦しい思いを、心に閉じ込めて、一人で頑張って生きてきたこの孤独な女性のケースに、どこか似ているような気がしませんか?

『Agar.アガリカス』

天孫の秋

12月に入り、三井寺近くの琵琶湖疎水の桜の木々は、

ついに1枚残らず葉っぱを散らしてしまいました。
いよいよ本格的な冬の到来です。

皆さん、いかがお過ごしでしょうか?
CHK荻野千恵美です。

今では、年末年始も、スーパーやコンビニが開いていて、
私が子供の頃のようなあわただしさは見られなくなりました。
師走と言えば、昭和育ちの私は、商店街の賑わいを懐かしく思い出します。

今、私たちが住んでいる大津の町にも商店街(菱屋町商店街)がありますが、
ご多分に漏れず、往年の賑わいを失っています。
そして、私自身も、昭和のお母さんのようなおせち料理を作らなくなってしまい
ました。せいぜい、箸休め程度の、ごまめ、黒豆、なます、煮物くらいでしょうか。

でも、少ないながら、家族が集まって楽しむ食事の準備を応援してくれる店が
健在なのもうれしいところです。

お雑煮用の餅は、私たちお気に入りの和菓子の店に予約しました。
「茶菓 山川」

http://saka-yamakawa.net/

白みそは、創業明治元年、150年続く、白みそ専門店で求めます。

「九重味噌」

https://www.kokonoemiso.com/

野菜は、県内で育てた有機野菜を販売を始めた小さな八百屋さんがお気に入り。

「なないろや」

https://www.maff.go.jp/kinki/tiiki/otsu/photo/20230120.html

そして、創業江戸時代、岡倉天心の先生だったフェノロサが愛したという

老舗漬物屋さんも元気に営業されています。
「八百與(やおよ)」

https://otsu-hyakucho-days.jp/archives/spot/638

今年は、どんな年末年始になるかな?

皆さんも、ぜひ、楽しい年末年始をお過ごしください!

さて、
今回は、間もなくやってくるサンタクロースと同じ、赤と白の姿で、
世界各地の林に自生するキノコを原料にしたレメディをご紹介したいと思います。

2019年8月にブログに投稿した記事です。

https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12505526299.html

 

]
『Agar.アガリカス(Agaricus muscaris)』

原料は、ベニテングダケ。
北方、高緯度地方、白樺林などに自生するキノコです。

https://nokkeushi.blog.fc2.com/blog-entry-2040.html

林を歩いているとき、このような姿を見たら?

なんだか、おとぎの国に迷い込んだような気持ちになりそうです。
可愛いけれど、毒気も感じるので、食べようとは、思わないですね。

赤と白は、どことなくおめでたい感じもします。
古代から、幸運のシンボルだったようです。

このキノコのデザインから彷彿されるのは?
スーパーマリオ。
キノコ王国が、侵略されピーチ姫がさらわれてしまいますが、
大工の兄弟が勇敢にも敵を倒して、突き進むゲームです。
30年以上前になりますが、日本中の子供を夢中にさせました。

そして、サンタクロース。
あんなに大きなサンタさんが、たくさんプレゼントの入った大きな袋を担いで、
なぜか、子供たちのいる家の煙突から入っていきます
トナカイにそりを引かせて、夜空を飛んでいくこともできる。
子供達に喜びを配る、クリスマスの主人公です。

不思議の国のアリスにも登場します。
不思議なうさぎを追いかけたアリスは、穴に落ちてしまいます。
そこは不思議の世界。
かじると大きくなったり小さくなったりする不思議なキノコとして登場します。
ベニテングダケの毒性は、それほど強いものではありませんが、
嘔吐・下痢など胃腸症状や、アトロピン様の瞳孔拡大作用、
幻覚・幻聴などの感覚神経異常、痙攣などの運動機能障害を起こします。

こういった作用を利用して、古くから宗教行事に使われたり、
シャーマンがトランス状態になるために使ったりしてきたようです。
また、バイキングは、恐怖心をなくすために、戦いの前に飲んだそうです。

授業では、これらの原物質情報から、このレメディの症状を想像し、
話し合ってみました。

すると・・・
・幻覚や痙攣などの症状を持つ人。
・冒険心や好奇心が旺盛な人。
・・・などの、意見が出てきました。

ホメオパシーのレメディの症状として「妄想」というものがあります。
事実は、まったくそうではないのに、まるでそうであるかのように
思い込んでしまっている。その人独特の内的世界。
このレメディには2つの有名な「妄想」の症状があります。

MIND; DELUSIONS, imaginations; water; lake, a spoonful of water is a
妄想;スプーン1杯の水が湖に思える。

MIND; DELUSIONS, imaginations; hole; small, is a frightful chasm
妄想;小さな穴が恐ろしい岩の深い割れ目に思える。

大きさの認識がくるってしまっている失見当識の人です。
小さなスプーンの水を見て、まるで湖のように反応してしまうような人。
小さな穴が、まるで恐ろしいような深い岩の割れ目のように見えて、怖がるような人。
このレメディは、発達に問題のある子供~多動で、危険なことも平気でしてしまう子
や、神経系が侵され痙攣や筋肉の震えを持つ高齢者に良く使われてきました。
癌という病気を恐れるという症状も持つレメディですが、それ以外のことには恐怖心
を持たなかったりします。
体の動かし方も、心の動かし方も、バランスが取れないというのが
このレメディにマッチする人の特徴です。

しもやけのレメディとしても知られています。
しもやけは、寒さによる血行不良から起き、症状は赤くはれ、
熱を持ったような、痛痒い感覚になる感覚障害。
このレメディらしい症状だといえます。
夜に痙攣性の咳をする症状もあり、Focusマテリアメディカには、
結核系(マヤズム)のレメディだと書かれています。

結核と言えば、Tub.(結核菌由来のレメディ)が有名ですが、
インドの著名なホメオパシー臨床医Dr.Sarkarは、Agar.は、Tub.によく反応する子供に
良いレメディだと記しています。

Dr.Sarkarによると、
「Agar.=Tub.+向こう見ず+筋肉痙攣」と覚えておくと良いのだそうです。

もう、10年以上前になりますが、アメリカから来ていただいたJo Daily先生に
教えていただいたケースは、印象深いものでした。

多発性硬化症になった元スタントマン。
彼は元気だったころは、危険なこと、誰もしないようなことをすることに、
爽快感を感じていたそうです。
でも、本当は、ピエロの服を着て登場し子供を笑わせるときが一番楽しかったらしい。
筋肉もりもりの体格で、人を怖がらせることもできるけれど、
こんな大男なのに子供を喜ばせるほど楽しいことはない、という人でした。
なんだか、サンタクロースを思わせるようなレメディだと思って聞いていました。

生徒さんの中に、このレメディを勉強して、ロックバンド「The blue heart」を
思い出した人がいました。昭和人間の私には、まったくなじみのない歌手ですが・・。

でも、ドキッとするような歌詞を教えてくれました。

“ヒマラヤほどの消しゴムひとつ
楽しいことをたくさんしたい
ミサイルほどのペンを片手に
おもしろいことをたくさんしたい“

「1000のバイオリン」歌詞

https://www.oricon.co.jp/prof/2978/lyrics/I006231/

まさに「Agar.」の世界だと思いました。

ヒマラヤと消しゴム。
ミサイルとペン。
激しい音とパフォーマンスの世界です。

こんな風に世界を感じている人もいるんだ。

Agar.的なエネルギーを感じて、びっくりでした。

 

『Carb-v. カーボべジ 木炭』

九谷焼急須土瓶小

11月に入り木々が美しく色づく季節となりました。

皆さんいかがお過ごしでしょうか?

CHKの荻野千恵美です。
今月初め、私たちは、秋の金沢と懐かしい人たちが恋しくなって大好きなサンダーバードに乗って北陸に行ってきました。

新幹線が開通したこともあり、およそ10年ぶりの金沢の街の活気には
目を見張るものがありました。
市内のどこに行っても観光客の多さに驚き、
とりわけ金沢城が美しく整備されていたことにもびっくりしました。

以前とは、様変わりしていましたが、古い城下町らしい雰囲気も残っていて、
街歩きを楽しみ、美しい九谷焼に盛り付けられる加賀料理に感動し、
生きの良いネタの回転ずしには、大喜びでした。(写真は、九谷焼土瓶)

◯金沢城公園

https://www.pref.ishikawa.jp/siro-niwa/kanazawajou/

◯金沢まいもん寿司(京都駅前にもありますよ)

https://www.maimon-susi.com/

石川県には、CHK卒業生で「クラシカルホメオパシー北陸」として
活躍されている方が、お二人います。
2期卒業生ですので、ホメオパスとして活動を始めて、
かれこれ10年以上になるでしょうか、全く違った個性を持つお二人ですが、
お互い得意分野を生かしながら、セッションも講座も、
まるで二人で一人であるかのように、いつも一緒に活動されています。

◯クラシカルホメオパシー北陸

http://homeopathy-hokuriku.com/

金沢での2日目の夕食は、彼女たちとご一緒しました。
私たちの古いクライアントさんで、「クラシカルホメオパシー北陸」の
活動の応援団でもある方々も来てくれました。

暖かくて
懐かしくて
嬉しかったです。

学校設立して間もない頃(15年ほど前)、私たちは3年間ほど、
毎月のように北陸に通って、基本講座(セルフケア講座)や
個人セッションをしていました。

私たちと、彼女たちは、歳が近いこともあってか、
まるで古くからの友人のように親密になりました。
当時は、お互いの子供たちは、学生だったり、新米の社会人の頃でした。
やがて、子供たちも結婚し、家庭や子供を持ち、今は、家業を継いでいたり、
地元で新しい事業を始めていたり。
知らぬ間に、私たちは皆「ばあば・じいじ」になっていました。
時の過ぎ行くはやさには、驚くばかりです。
さて、今回は、セルフケアでも、
とてもよく使うレメディをご紹介したいと思います。

(私のブログでは2020年にご紹介しました。

https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12599400655.html)

『Carb vegetabilis カーボベジ 木炭』

Carb-v.は、「木炭」を原料とするレメディです。

木炭の特徴がそのままレメディの特徴に反映しています。

木炭は、できるだけ酸素を与えずに燃やして作ります。

◯実は知らない炭のこと。 知ったら使いたくなる、古くて深い日本の炭文化

https://yamatowa.co.jp/news/story/sumi/

Carb-v.は、「酸欠のレメディ」
充分に酸素を体内に取り入れることができなくなっている人に使います。
このレメディの特徴的な症状のひとつに、

GENERALITIES; FANNED; desire to be (扇いでほしい)というのがあります。
扇風機やエアコン、うちわの風に当たるのが好きな人。
酸素を取り込めなくなっている人って、どんな人でしょうか?

・とても弱った人。
・ターミナルケアのためのレメディのひとつです。
30代で癌を患い逝った娘さんを見送ったお母さんからお聞きしたお話です。
「呼吸がうまくできず苦しいときに、助けてもらった。」
「一時しのぎだったけれど、大きな救いだった。」

今回の授業では、初めてのお産のお話をしてくれた人がいました。
産まれてきた赤ちゃんが、呼吸をしていなくて泣かなかった。
それを見た助産師さんが、すかさずCarb-v.を飲ませてくれて、
次の瞬間大きな声で泣いたそうです。

・一方で、この世から旅立つときもよく使われて来ました。
この世に来た瞬間に必要なレメディでもあり、
この世から離れて行く際にも大切なレメディでもあります。
木炭を観察してみると・・・

色がありません。真っ黒。
水分がなく、弾力も、暖かさもなく、乾いて軽い感じ。
「いのち」を感じられない質感です。

植物のようなしっとり感もなく、鉱物の重みもない。
このレメディの特徴は、生命力のなさです。

・大病を患った。
・外科手術のあと。
・活力がもどらす、皮膚も冷たく顔色も悪い。

でも不思議に、Carb-v.の人は、
身体の内に熱感があり扇いでほしかったりするのです。
精神的には、

MIND; INDIFFERENCE, apathy; everything, to (すべてに無関心)

こういったところは、セピアSep.にも似ています。
Sep.は甲イカの墨のレメディ。
どちらも、黒いです。

また、Carb-v.の人は元気なときは長時間燃えている
炭のようなバイタリティを持つ人でもあります。
木炭をもう少し詳しく観察してみると、わかることは「多孔性」。
木を炭化すると、植物の血管である導管が残ります。
これが細かい孔となっているのが木炭の特徴的な構造です。
この無数の孔にさまざまな物質を吸い込み閉じ込めることができます。
身近なところでは、脱臭剤ですが、医薬品としても昔からよく使われてきました。

消化不良や便秘などで腸内にたまった有毒物質やガスを吸着して
便として排出してくれます。

こういった作用は、単に消化器系の不調を助けるだけでなく、
慢性腎不全による尿毒症の予防、緩和、改善にも効果があるというのを、
ネットの記事で最近見つけました。

その記事をみつけた時、以前、ホメオパシーを一緒に勉強してきた
古い友人のことを思い出しましたので、ご紹介します。

友人は、長年透析をして来た男性なのですが、数年前に、Carb-v.を
インドのホメオパスから提案され、調子が良かったという話を聞きました。
彼は、腎臓移植によって、透析からは解放されたものの、
胃腸の症状でも辛い思いをしていたので、セッションを受けたということでした。

なるほどな~。

今はそうではないと思いますが、数年前まで、彼はいつも黒ずくめの服装でした。

Carb-v.は、酸素不足からくる全身の不調に使うレメディですが、
消化器系にもよく利用されるレメディでもあります。

以前、インドからお招きした著名なホメオパシー臨床医Dr.Sarkarは、
鼓腸症状のレメディ候補として、チャイナChin.、ライコポディウムLyc.
とともに、このCarb-v.をあげておられました。

また、ゲップや放屁のレメディでもあります。

以前、盲腸の手術をした方のお見舞いにいったことがありました。
「おならが出ないと、退院できないの。」と彼女が言ったので、
レメディのキットから、Carb-v.を出し、一粒飲んでいただきました。
翌日、無事ガスがでて、無事に退院できたようでした。

地味ながら、いろんな場面で助けてくれる優れものレメディです。

『Causticum. コースティカム  水酸化カリウム』

大津祭2小

10月に入ると、長く居座った厳しい暑さが去り、急に秋の冷え込みがやってきました。

皆さん、いかがお過ごしでしょうか? CHKの荻野千恵美です。
10月は、お祭りの季節でもあります。

私の住む大津市でも、10月7日(土)8日(日)に「大津祭」がありました。
大津祭は400年の伝統を持つ湖国三大祭の1つで、国指定重要無形文化財に指定されて
います。13基の絢爛豪華な曳山が、優雅なお囃子を奏でながら、からくり人形を操り、
大津市内を巡行します。

https://www.sankei.com/article/20231008-YYRM6IMBPROSJHVQP5F5AV4CBM/

私たちの家は、旧東海道沿いにあり、町内に「月宮殿山」「源氏山」の2基の鉾が建ち
ます。
夏の間中、日が暮れた頃、近くの町家の二階には、赤い提灯が点り、祭りに向けて
お囃子の稽古の音が聞こえてきました。
近所にある私の大好きな魚屋のおじさんは、大津祭をライフワークにしていて、祭りが
近づくに連れそわそわと落ち着かない日を過ごしていました。

私たちは、毎週末土日に、専門コースの授業がありますから、お祭りを楽しむことは、
はなからあきらめていました。
でも、10月7日土曜日の夜、授業を終えての帰り道に、思いがけなくお祭りの賑わいに
間に合いました。
大津駅を降り、我家のある京町通まできた夜8時半ごろ、ちょうど宵宮(前夜祭)の
終わりがけだったようでした。
華やかな大吊提、美しく飾られた鉾、楽しげに奏でられるお囃子、秋の夜風に吹かれて
そぞろ歩く家族ずれ・・・しばらく、祭りの賑わいを楽しみ、月宮殿山の粽(ちまき)
を買って帰りました。まもなく部屋に着くと、すでにお囃子の音は消えていました。
もう9時を過ぎていました。

観光客でごった返すようなお祭りではない、程よい人出の大津祭。
いつまでも、続いてほしいなと思いました。
今回は、先月の国際セミナー(講師:ジェレミーシェア先生)で取り上げられたレメ
ディをご紹介します。

(つい最近、ブログに書いたものです。)

https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12822787288.html

『Causticum コースティカム  水酸化カリウム』

このレメディはポリクレストレメディの1つです。
多くの組織に起きる様々な症状に対して活かせるレメディです。

全体像がマッチすれば、いろんな不調悩みを抱えてやってくるクライアントさんに変化をもたらすことができるレメディだと言われていますが、私には、理解しにくいレメディで、授業でも、自分がこのレメディ学習を担当する際、いつも苦手だなあと感じていました。
原料は、水酸化カリウムと言われています。
「ハーネマンが独自に調合した化合物由来のレメディで、消石灰と硫酸水素カリウムの混合物」と臨床家のためのマテリアメディカには書かれていますが、その原料から立ちのぼるイメージとマテリアメディカに出てくる症状像を重ねることが難しいのです。

例えば、Sulph.サルファ―は硫黄から作られるレメディです。硫黄が多く含まれている
火山のイメージに、Sulph.の症状像は重なります。
また、Acon.アコナイトは、その原料が、強い特性を持つことや、生息地である高山の環境や花の姿のイメージは、Acon.の症状像と重なります。

どうすれば、消石灰と硫酸水素カリウムのイメージから、Caust.の症状像を重ねることができるのでしょうか?

でも、2018年から3年余り学んだダイナミススクールでジェレミー先生のCaust.の授業を受け、この悩みは解決しました。そんなこともあり、今年の国際セミナーでも取り上げていただくことにしました。

ジェレミー先生の授業では、このレメディCaust.を作ったときのお話から始まります。
友達とアイルランドの浜辺で、火を焚いて、粉砕した大理石を火に投入し、一晩中燃やし続けたのだそうです。

大理石を一晩中燃やし続けたら?
有機物をすべて燃焼させた後に、最終的にはカリウム硫酸塩と反応させるもののようです。そこに残っている原材料は、元素的には、Kカリウム、Caカルシウム、S硫黄の要素を持つようですが、その中心は「燃え尽きたもの」だということ。水分はすべて蒸発し、燃え尽きて冷えている。

Caustの症状像の中心も、そういったところにあります。

ですから、慢性的状態に適したレメディということになります。100年前のアメリカの医師ホメオパスであるJ.T.ケント博士は、慢性疾患を持つ衰弱した高齢者のためのレメディであり、急性状態に使うのはまれだと、書き残しています。

通常は、ゆっくりと悪化し、徐々に衰弱していくような人に適します。
筋肉が弱り、やがて麻痺に至るような人。関節、筋肉、あらゆるものが硬くなって弱って行く。一般的な表現なら、リウマチ・多発性硬化症・デュピュイトラン拘縮などとなります。筋肉や腱が収縮・拘縮しコントロールできなくなってゆく(麻痺的)状態に適しています。

英国の元首相マーガレット・サッチャーの晩年の状態にマッチすると言う方もおられます。強い正義感・高い理想・弱者に対する支援への熱意を持つと同時に、その思いが強すぎて、それに心身ともに着いて行けず、やがて燃え尽きるというテーマを持ちます。

長時間大理石を燃やし続けて作るCaust.は、燃え尽きたような人。長年の苦痛、多くの問題を抱えてきて、徐々に心は弱り、時に認知機能が衰えることすらあり、身体は、徐々に冷えて乾燥して行きます。

私は、このレメディを10年ほど前にインドの巨匠サンカラン先生から処方提案されました。当時の私の悩みは、日常生活には特に支障のないレベルでしたが、時々足の腱が短くなったような感覚があり、ひどい時には裂けるような乾いた痛みを感じることでした。
日によって時間帯もまちまちに、足のあちこちに痛みを感じていました。

サンカラン先生から、このレメディを提案されたときは驚きました。

当時の私のCaust.への理解は・・・
MIND; IDEALISTIC 理想主義
MIND; INJUSTICE, cannot support 不正に耐えられない
MIND; FANATICISM  狂信的
などの精神症状が印象的で、社会活動家のようなイメージを持っていたのです。

私は、それとは、かなり違います。
自分の生活を日々送るのが精いっぱいの、母であり妻であるごく平凡な存在です。

私は、このレメディを何かにつけて飲むようになって1年くらいは改善がありませんでしたが、3年くらいたったある日、足の症状がすっかりなくなっていることに気が付きました。
言われてみれば、私は、体質的には、燃え尽きた大理石のように、乾いて冷えて、活力
がないのが特徴です。とても喉が渇きます。寒がりなのに冬でも冷たいものをごくごく
飲みたい。人の痛みには同情しがちで泣き虫。自分はどうであれ、家族には、必要以上
に心配してしまう。人生に対する様々なところで、意外にも理想は高いかもしれない。
やはり、Caust.かなあ・・・。

今年9月に開催されたCHK国際セミナーでは、ジェレミー先生は、Caust.について、
慢性的な症状を持つ高齢者のレメディとして紹介されましたが、私のような中年女性
にもいますし、子供にもとてもよく見られます。ポリクレストレメディですから。

また機会があれば、いろんなタイプのCaust.をご紹介したいと思います。
どうか、お楽しみに。

『PLUMBUM(Plb.)プランボン』

比叡山会館喫茶小改

CHKの荻野千恵美です。

厳しい暑さが続いていますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

私たちは、先日、涼を求めて、比叡山に登ってきました。
最寄り駅「京阪「びわ湖浜大津」から
終点の「坂本比叡山口」まで15分の距離です。
二両連結の小さな電車ですが、琵琶湖の西側を山沿いに走り、
山麓の深まった緑と琵琶湖の美しい遠景の両方を楽しむことができます。

「坂本比叡山口」駅から坂本ケーブルの乗り場までは、
歩いて20分ほどの緩やかな上り坂です。
山からの涼しい風に吹かれながら、
美しい石積みの道を楽しむはずのつもりでしたが、
考えが甘過ぎました。坂本は町中に比べれば清涼な土地ですが、
さすがに、猛暑の中、夏の容赦ない日差しに照り付けられ、
汗だくになってしまいました。

ケーブルに乗ると11分で頂上に着きます。頂上駅に降り立つと、
気温は3度下がり、すがすがしい霊山の風が吹いていました。
10分ほど歩けば、境内です。
境内には根本中堂、大講堂はじめ多くの国宝、重要文化財などがあり、
荘厳な雰囲気です。

比叡山坂本ケーブル

https://www.sakamoto-cable.jp/

でも、私の一番のお気に入りは比叡山・延暦寺会館の喫茶「れいほう」。
ここからは、琵琶湖が一望できます。
そしていつ行っても、お茶を楽しみながら、
季節を感じることのできる場所です。
今回は猛暑の最中だけに、空の青さは真夏の力強さに満ちあふれ、
浮かぶ雲はわんぱく坊主のように元気いっぱいでした。

比叡山延暦寺会館「れいほう」の開運スイーツ

https://www.biwako-visitors.jp/staff/blog/detail/bonji-teramisu/

さて、
今月は、今の季節とは真逆のエネルギーを持つレメディをご紹介したいと思います。

———————————————————————-
『PLUMBUM(Plb.)プランボン/鉛)』
———————————————————————-

Plb.は、鉛を原料とするレメディです。

このレメディは、CHK専門コースでは、
3年目か4年目に学ぶ、ややマイナーな存在です。

CHK専門コースでのレメディの学習は、まずは、
現物質情報を発表していただくことから始めます。

「鉛」は、柔らかく加工しやすく、腐蝕しにくいので、
古代から現代にいたるまで、様々な用途に使われてきました。
とても便利で、人間にとってありがたい存在なのですが、
毒性が強いというやっかいなものでもあります。
しかも、この毒は、吸収されると9割以上が骨に沈着し、
その半分が排出されるのに5年かかるといわれています。
人体への影響は様々で、疲労感・不眠・神経過敏・頭痛・精神異常から、
脳症による死 に至るまで、さまざまな障害を引き起こします。

現代社会は、電磁波防止、釣りの重りや塗料、各種電気製品に含まれ、
工場からの排煙にも混ざっています。
古代から上水道管には使われてきましたし、
ワインの保存剤にも使われてきました。

徳川時代は、将軍の乳母の白粉に含まれていて、大切な後継ぎが早逝したり、
病気がちだったりだった要因の一つだったとも言われています。
大気汚染が原因で降る酸性雨となって、土壌や海、川を汚し、
また、燃えないゴミとして埋められたものの中に含まれた鉛が、
土壌を汚染し、河川や海を汚したりもしています。

鉛は占星術では鉛は「土星」と関係が深いとされています。
土星には、農耕や狩猟の神が住むと考えられていました。
また、「土星」は、凶星とみなされていたようで、
英語ではサターン(サトゥルヌス)と言われています。

ローマ神話に登場するサトゥルヌスは、
将来自分の子に殺されるという予言を恐れ、
自分の子供を次々に飲み込んでいった伝承から来ています。

17世紀のオランダのルーベンスやスペインのゴヤは、
この伝承をモチーフにした絵を描いています。
この絵は、自己破滅への恐怖からの狂気を表現しているそうです。
非常に暗い重い絵ですが、このレメディの質感と関係しています。

ルーベンス「我が子を食らうサトゥルヌス」

https://www.artpedia.asia/saturn-%28rubens%29/

ゴヤ「我が子を食らうサトゥルヌス」

https://www.artpedia.asia/saturn-devouring-his-son/

CHK専門コースの授業では、現物質の情報が出尽くしたら、
このレメディを必要とする人物像を想像して話し合います。
特にそれぞれが感じた質感を述べて頂きます。

明るいか?暗いか? 軽いか?重いか? 冷たいか?暖かいか?
柔らかいか?固いか?乾いているか?湿気を含むのか?

どんな状況にいるのかな?
身体のどこに関係しそう?
どんな問題を抱えているのか?

自由にいろいろ想像してみます。

想像してから、マテリアメディカ(レメディの解説書)を開くと、
いっそう面白いです。
想像した症状と、マテリアメディカの記述は、
近いイメージが出てくるから不思議です。

インドの巨匠、ラジャン・サンカランは、著書”Soul of Remedelies”の
中で、以下のような妄想(Delusion)の症状を挙げています。

MIND; DELUSIONS, imaginations; castles and palaces, sees
城が見える。
MIND; DELUSIONS, imaginations; murderer, everybody around him is a
自分のまわりはすべて殺人者
MIND; DELUSIONS, imaginations; pursued, he is; soldiers, by
兵士に追いかけられている
MIND; DELUSIONS, imaginations; conspiracies; against; him, there are
自分に対する陰謀がある
MIND; DELUSIONS, imaginations; devils; persons are, that all (2)
すべての人が悪魔に見える
MIND; DELUSIONS, imaginations; poisoned; about to be, that he is
毒を盛られようとしている。

「妄想(Delusion)」というのは、
その人が住んでいる間違った思い込みの世界です。
Plb.の人はこのような世界に住んでいるといえます。
本当はそうではないのに、彼は、そうだと思い込んで苦しんでいるのです。

庶民的な感じではなさそうです。城に住んでいるような、支配階級の人。
そんな立場にありながら自分のいる場所は、すでに崩れかけている。
攻撃を受ける、とても危険な状態にいるという感覚。

マテリアメディカ(レメディの解説書)には、
「贅沢な生活、あらゆる最善のものを享受し楽しんだ。」という記述があります。
「楽しんだ」という過去形なのが印象的です。無感動で、イライラしている。
凝り固まって、硬化した態度や傾向。
危険でスキャンダラスな振る舞いに刺激を見出したりします。

身体症状は、神経や筋肉の硬化、無感覚、退縮、痙攣、脱力。
命がだんだんと、みずみずしさを失って、固まり、縮むイメージです。

最もPlb.らしい症状の一つは・・・
ABDOMEN; RETRACTION; Umbilicus attached to spine ; as if
(腹部;退縮;臍;まるで脊柱にくっつくかのような)です。

“RETRACTION(退縮)”というのが、このレメディのキーワードです。
退縮の感覚は、全身~目、胃、腹部、肛門、睾丸にわたり出てきます。
鉛は、重金属。毒性が強い物質で、人間の営みとともに自然界に散らばり、
そして人間の健康をじわじわとむしばんでいきます。
病は深く、業病のような病に罹りやすいかもしれません。
マヤズム(病の傾向)分類では、最も深く重いもの~SYPHILISマヤズムに
位置付けられています。

 

Verat.(Veratrum album)バイケイソウ

Verat

こんにちは、荻野千恵美です。

6月に入って、ご近所の庭に咲くアジサイの花が、
一雨ごとに色づいていくのを楽しみに見ていました。
6月中旬、少し体調を壊してしまって、1週間ほど家にこもっているうちに、
アジサイはすっかり咲き切って、先の方から花弁が枯れ始めました。

ふと気づくと、アジサイの横では、
梅雨の頃から秋まで夏中咲いてくれる桔梗が、咲き始めていました。

夏休みを楽しみにしている子供のように、真夏の出番を控えて、
朝顔はつるを毎日少しづつ伸ばし、
ひまわりも初夏の陽を浴びてすくすくと背丈を伸ばしています。

私たちの生活や健康状態がどうあろうと、
自然は変化し続けているのだと、あらためて感じました。

さて、
今回は、5月に専門コース2年生の授業で勉強した後、
すぐにブログに投稿したレメディをご紹介したいと思います。

https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12805203678.html

『Verat.(Veratrum album)』

原料はバイケイソウ(梅恵草)。
白緑色の花が梅に似ていることと、葉が鶏卵に似ていることから、
バイケイソウという名がついたそうです。
緑色の花が多く、普通の花とは違い、どこか奇妙な印象を受けます。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%82%A4%E3%82%BD%E3%82%A6

この植物の毒性は強く、交感神経に作用し、各内臓の痙攣をおこします。
激しい嘔吐と下痢から極度の衰弱になります。
顔面蒼白、冷汗がでます。
悪寒で体中が氷のようになり、頭痛がして頭が氷漬けになったような感覚になります。

この症状は、コレラにとても良く似ているようです。
今の日本では、なじみの少ないのですが、かつて日本でも恐れられた病気です。

https://www.asahi.com/articles/SDI202001173911.html

19世紀、コレラが欧州で蔓延した時に、このレメディVerat.は、
Camph.カンファ―(樟脳)、Cupr.カプラム(銅)とともに、
素晴らしい治癒効果を上げ、ハーネマンの名声を高めました。

衛生状態の良くないところでは、今も蔓延するこの病気は、
今まで元気に生きていた人に突然襲い掛かります。
激しい下痢と嘔吐が、人間の大切な命のもとである水分を急激に奪ってしまいます。

このレメディの特徴は「虚脱」状態です。
マテリアメディカでは、”Collapse”という言葉で出てきます。
意味は、虚脱、崩壊、倒壊、衰弱、挫折・・・。

人間の身体における「水」という存在は、
人間の社会的な面に置き換えるとどんなものになるでしょうか?

血液やリンパ液、粘液や漿液、唾液などとなって、
身体のスムーズな循環を支えてくれる存在のような役割を、
社会において担ってくれているのは「お金」ではないかしら。
「お金」によって、人は自分が生きるのに必要な循環を得ているとも言えます。

急激で激しい脱水から虚脱状態になるという現象が、
社会的な側面で起きたらどうなるかしら?

それが、このレメディの精神症状を表しています。

インドの巨匠、ラジャンサンカランは
著書“Soul of remedeis”で以下のように書いています。

”社会的地位を失ってしまったというフィーリングがあり、
いかなる手段を用いてもすぐそれを回復しなければならず、
さもないと自分は終わりだと感じている。
一度に何かを得る方法、たとえばギャンブルとかうそをつくとか
詐欺行為とかいった方法を見つけようとする。
冨や自分の重要性を示すことがVerat.の際立った特徴であり、
これを使って失った社会的地位を埋め合わせようとする。”

身体における水分というのは、
この世での人としての冨や地位にあたるかもしれません。

サンカランは、このレメディをプルービングしたときに見た夢についても書いています。

“まもなく引退することになった年老いた男性は、
引退することで社会的な地位を失うことになっていた。
彼はそのことを恐れていて、
まだ、自分は重要人物であることを示すために派手なパーティを開いた。”

嘘をついてでも、自分の裕福さを示したい。
このレメディを必要とする人は、本人だけでなく、
その前の世代が社会的な地位を失った場合にも多いそうです。
宗教や政治、ビジネス、などの世界での指導者のなかには、
こういった状態の人が結構いるのかもしれません。

サンカランと並ぶインドの巨匠サルカール先生は、
その著書“Just you see”のなかで、このレメディについて、

“Ars.アルセニカムとHyos.ハイオサイマス(ヒヨス)の色合いがあると思う。”

と書いています。

“このレメディは主要な急性病レメディの1つとして使えるが、
大多数はArs.アルセニカムを代わりに使っている。”

一般に、真面目でお堅いいArs.アルセニカムの人は、
好色・呪う・だます、とはご縁がなさそうです。
ヒヨスのタイプの人は、その気がありそうですが。

Verat.は下痢と嘔吐が同時に起きるアルセニカムと症状が似ているので
「植物の砒素」ともいわれます。

私は、このレメディの授業をするときはいつも、
作家・渡辺淳一が書いた「遠き落日」という本をご紹介しています。

https://honto.jp/netstore/pd-book_26001244.html

野口英世の人生を描いた本ですが、
子供のころに読んだ英雄伝記とはまるで違った人物像に驚きました。
ものすごい野心家で、浪費家、嘘つき、大ぼら吹き。
でも、どこか憎めない可愛い愛すべき人でもあります。

サンかランも、Verat,は、一緒にいて楽しい人だと記しています。

“おしゃべり、歌い、冗談を言い、陽気である。
また、神とつながっているというような
愉快なファンタジーを思い描いていたりもする。”

ぜひ一度「遠き落日」を読んでみて!

Tub.(Tuberculinum) 結核菌

高杉晋作画像

こんにちは、荻野千恵美です。

緑の燃え立つ季節、ゴールデンウイークを皆さんはどのように過ごされましたか?

私たちは、多くの人で混み合う観光地を避けて、
ご近所の大津の街中での散策を楽しみました。

皆さん、明治に起きた日本を揺るがすほどの大事件「大津事件」をご存知ですか?

明治24年、日本を訪問中のロシア皇太子が警備の巡査に切り付けられたという事件です。
(大津事件)

https://info.yomiuri.co.jp/media/yomiuri/ayumi/ayumi_02.html

私たちは、その事件のあった近くの旧東海道沿いに住んでいます。
旧東海道を京都に向かいまっすぐ行った突き当りの長等山(ながらやま)山上には、
三井寺観音堂が威風堂々と建っています。

江戸時代の人々は、東海道をてくてく歩いて、大津の宿場町まできたとき、
山上に立つ観音堂をどんな気持ちで眺めたのでしょうか。

観音堂は、三井寺の展望台のような存在で、
旧東海道側からの急な階段を上り切っていくこともできますし、
なだらかな坂道を迂回して登っていくルートもあります。

もちろん、私たちはいつもなだらかなルートを選んで歩きます。

この道には、たくさんの紅葉の木が植えられています。
三井寺は桜の名所でもあり、紅葉の名所でもあります。
ゴールデンウイークの良く晴れた日に、この道を歩きましたが、
青紅葉(あおもみじ)の葉を通して降り注ぐ、5月の陽の光は若々しく、
その上には真っ青な空が見えて、初夏のかおりも漂っていました。

観音堂わきの展望台からはびわ湖に面した大津市街を一望することができます。

(三井寺・観音堂)

https://tabi-mag.jp/sg0104/

10年以上前になりますが、私が初めてここを訪れたとき、
自分の生まれ育った神戸の街に似ているのに驚きました。

大津は、神戸が開港するずっと以前の江戸時代に、
宿場町、港町として大変賑わい栄えたところです。
私が大津と神戸が似ていると感じたのは、どちらも、
海と山が近い港町の地形をしたところだったからでした。

大津は、神戸のような明るく軽やかな雰囲気は少ないのですが、
街のそこかしこに、古くに賑わった時代の余韻のようなものが、
残っていて、私の心を和ませてくれるところです。

さて今回は、少し変わったものを原料とする
レメディをご紹介したいと思います。

(2017年にブログでもご紹介しました。

https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12250569748.html)

<Tub.(Tuberculinum) 結核菌>

ホメオパシーのレメディの原料となるのは、
主に自然の三界~鉱物・植物・動物です。

鉱物は、結晶を作る構造的な存在です。
鉱物レメディを必要とする人は、秩序立っていて、構造的です。

自分には・・・
家族や周りの人との関係性を作ること。
自分や家族の安全を確保すること。
創造性を発揮し、表現すること。
自分の社会的責任を果たすこと
などに対して
・・・自分にはその役割を果たす力が欠けているためにうまくやって
いけないと考えがちです。

植物は、地面に根を張っているため、動くことができません。
周辺環境~雨風・暑さ寒さ・光や音等~の影響を強く受けます。
敏感に感じて適応しようとする存在です。
植物レメディに合う人は、何事にも敏感に反応します。
敏感で弱く感じられるかも知れませんが、
水と光さえあれば生きて行く強さも持ち合わせています。

動物は、自分の命をつなぐために、餌を求め、子孫を残すために異性を求めます。
餌の獲得にも、パートナーの獲得にも避けられないのが、競争です。
動物レメディの人は、サバイバルというテーマを持ちます。
魅力的に振る舞うことも必要ですし、ライバルには強い嫉妬心を持ちます。

レメディの原料には、自然の三界以外にもあります。
その一つに、人が病に侵された患部を原料とするレメディがあり、それを
Nosodes(ノソーズ)と呼んでいます。

Nosodes(ノソーズ)のレメディを必要とする人ってどんな人だと思いますか?

もし、あなたが、結核の病巣部だったらどんな気持ち?
・・・なんて考える人は、普通はいませんよね。

でも、クラシカルホメオパシー京都(学校)では、
このようなことをイメージしたり、話し合ったりする時間を大切にしています。

身体に備わっている生命力(免疫)は、病巣部の存在を許そうとしませんが、
生命力(免疫)が弱って来ると、病巣部ができてきます。
病巣部側も、存在するからには、少しでも大きくなりたいし、繁栄したい。
しかし、繁栄しすぎると宿主の人間が死んでしまい、自分の命も尽きてしまいます。
そういう矛盾をかかえた苦しい存在です。
インドの巨匠サンカランは、Nosodesのテーマを、
「死にもの狂い・やけくそ・絶望」と表現しています。

ハーネマンは、3つのマヤズム(病の素因)を提唱しました。
Psora ソ-ラ(疥癬)マヤズム。
Sycosis サイコシス(淋病)マヤズム。
Syphilis シフィリス(梅毒)マヤズム。

それぞれのマヤズム毎の代表レメディは、各病巣部から作られたレメディ
とも言えます。
ハーネマンの生きた時代(18世紀)の慢性病は、皮膚病と性病が中心でした。

しかし、時代がもう少し進むと、世界は、結核の時代を迎えます。
ヨーロッパでは、産業革命が起きて、都市に人が密集し始めます。
人々はまだ貧しく、栄養状態も衛生状態も悪かった頃に大流行したのが結核です。
結核菌の感染力は強く、多くの人が若くして亡くなりました。
最初は、風邪のような症状ですが、肺だけでなく、全身を巡り、潜伏し、時には
脳まで侵す恐ろしい病気です。
日本では幕末から明治、大正、昭和20年代くらいまでは、国民病として怖れられました。

1年生の2月のレメディ学習では、
結核に感染した人の患部から作ったレメディ
Tub.(Tuberculinum)を学びました。

このレメディにマッチする人は、風邪を引きやすく、
呼吸器系の症状を起こしやすい人。
関節炎の痛みや頭痛も、持ちやすい人です。

Tub.(Tuberculinum)の精神症状は、結核が恐れられていた時代に、
この病気にかかって若くして亡くなった人の生き様と重なるところが多くあります。

高杉晋作。
幕末に長州藩で尊王攘夷の志士として活躍した人です。
当時の社会の在り方に危機感、不満感を持ち、世の中を変えようとしました。

彼の作った有名な歌。
「おもしろき こともなき世をおもしろく すみなすものは 心なりけり」

Tub.の人の精神症状の中心は「現状不満足」そして、
現状下での息苦しさから「変化」を求めるということです。
人生を短いと感じ、激しく理想や恋、芸術に捧げ、燃え尽きるような人。

ご存知のように、高杉晋作は「奇兵隊」を組織し、
たぐいまれな統率力でそれを率いるとともに、英米仏蘭の四か国連合と戦い、
そして和平交渉するなど、数々の伝説的な仕事をしますが、
結核で27歳の生涯を閉じます。

(高杉晋作/萩市観光協会公式サイトより)

https://www.hagishi.com/oidemase/greatman/takasugishinsaku/

竹久夢二は、49歳まで生きた人ですが、やはり結核で亡くなっています。
彼は、大正時代に主に活躍しています。
明治期の日清・日露戦争と、昭和の太平洋戦争との間。
束の間の平和を謳歌できたころ。
夢二は、大正ロマンの中心人物のひとりです。
竹久夢二が描く美人画は、みんな痩せて白い肌。呼吸器が弱そうです。

Tub.(Tuberculinum)の人は、とてもロマンティックな人でもあります。

古典的なマテリアメディカ“Allen’s KeyNote”では、Tub.の人の体型について
「背が高く、痩せて、胸が狭くて、青白い顔」だと書かれています。

石川啄木も、結核で26歳で亡くなっています。
短い人生なのに、故郷の岩手から東京に出て、北海道にもわたり、仕事をしています。
恋をし、結婚して子供をもうけ、たくさんの歌を作り、
社会主義運動にもかかわったようです。
生涯貧しく、社会への不満から、社会運動に向かっていきました。

彼が生きたのは、日本全体が、一部特権階級をのぞいて、とても貧しい時代でも
ありました。貧しさや社会への不満に逆らいながら、激しく短く生きた人たちの
イメージです。

20世紀前半、パリに起きた芸術運動~エコール・ド・パリの画家のひとり、
モディリアーニ。
彼の作品にも、痩せて背が高そうな人が出てきます。
彼は、イタリア人でした。このころ、世界中からパリを目指して画家を目指す若者
が集まっていました。日本からも、佐伯祐三や藤田嗣治がパリで活躍しています。
彼らも保守的な日本の画壇に我慢しきれず、パリに旅立った人たちです。

ここにあげたいずれの人たちもとても短い人生を駆け抜けて行きました。
Tub.の人は、まるでろうそくの両端から火をつけるような人だといわれています。
E.B.Nashの古典的なマテリアメディカでは、このレメディにマッチする人のことを、
コスモポリタンな人だと書かれています

コスモポリタンとは?
一つの国にとらわれない国際人。世界主義。などという意味があります。
エコール・ド・パリの画家たちにも、コスモポリタンなものを感じます。

結核で亡くなったのではないのですが、
おもしろいTub.の症状を持った歴史上の人物が日本にいます。

BACK; HAIR growth spine; along the children; dark or long, fine hair on back of
(背部;毛-黒い長い立派な毛が背骨に生えている子供)

この症状を持つレメディは、Tub.ただ一つです。
幕末の日本で生まれた、坂本龍馬。
彼は、生まれた時、背中に立派な毛が生えていたので「竜馬」と名付けられたそうです。土佐の古い社会が息苦しくてたまらなかった竜馬。
脱藩して、故郷を出奔した後、今度は古い日本全体の制度を壊して、
新しい社会に変えようと日本中を駆けずり回った人です。

・現状への不満足。
・変化への希求。

これらは、Tub.の人の持つ中心テーマです。
また、彼は旅が好きでした。
旅なくしては、彼の人生は成立しません。
日本で最初に新婚旅行をした人だとも言われています。

MIND; TRAVEL; desire to
(精神:旅;欲する)

これは、有名な精神症状でこの症状を持つレメディはいくつかありますが、
Tub.はその中でもとりわけ重要なレメディの一つです。

ちなみに、彼のお母さんは結核でした。
家族の結核病歴というのも、Tub.を選ぶときの重要ポイントの一つです。

結核が国民病と言われた時代は去りました。
しかし、今もこのレメディを必要とする人はたくさんいます。

生徒さんの中には、このレメディを学んだ際、
「夫はサルファーだと思っていましたが、こちらの方がより近いです。」と
発言した方がおられました。

共通点は、どちらも明るくエネルギッシュで楽天的だと思います。
外気が欲しい人。空腹には弱く、食べ物も高カロリーで濃厚なものを好みます。

あなたの周りに、このような方は、いらっしゃいますか?

 

人間の病巣部から調整されるレメディ学習を通じて
病というものが人間の歴史やその時代の持つ固有のエネルギーと深く関係して
いるなんて、とてもロマンティックだと思いませんか?

縁の下の力持ち「Graphites (Graph./グラファイト)」

鉛筆画像

今年は、春が早かったですね。
桜の季節を皆さんはどのように過ごされたのでしょうか?

こんにちは、荻野千恵美です。

私たちは、今、桜の名所と言われている三井寺の近くに住んでいます。
三井寺のすぐそばには、満開の桜の景色で有名な琵琶湖疎水もあります。

今年は、電車で15分ほどの距離の比叡山坂本まで桜を見に行くことにしました。
ここの桜はそれほど知られてはいないので、
三井寺よりもうんと静かに桜を楽しむことができると思ったのです。
比叡山坂本駅で降り日吉大社までの参道を歩きましたが、
それはそれは見事な春の景色でした。

比叡山坂本は、比叡山延暦寺の門前町として栄えたところで、
通りや里坊に見られる石垣の美しいところです。

https://www.hieizansakamoto.jp/ws-anoisizumi.html

この石垣の作り方を「穴太衆積み」といい、
古くから隣町の穴太に住んでいた渡来人の石工技術集団によるものだそうです。
私は、この「石積の町」と言われている坂本が大好きです。
自然石を組み合わせた石垣は長い年月かけて育った苔にやさしくつつまれ、
近くを流れる小川の水は清らかで、比叡山から吹いてくる風も、澄み渡っています。

多くの自然石で積まれているのが特徴ですが、
この石垣を眺めるとき、これらを積んだ名もなき多くの石工たちの、
声や息遣いが聞こえてきそうになります。
汗を流し、心を一つにして、大きなものを作っていく人々の集団がいたのです。

そして、そんな人たちは、今もたくさんいて縁の下の力持ちとして、
まじめに熱心に働いています。

今月は、こういった人たちとイメージと重なるレメディをご紹介したいと思います。

(2019年9月に私のブログに投稿したものです。)

https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12538755297.html

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Graphites (Graph./グラファイト)

原料は、黒鉛。
でも、鉛ではありません。正式名は、石墨。
ダイヤモンド・墨・石炭などと同様、炭素(C)の仲間です。

潤滑性・導電性・耐熱性・耐酸アルカリ性に優れていて、
主な用途は、鉛筆の芯、鉄道のパンタグラフ、自動車のブレーキパッド、
アルミホイル、乾電池の合剤、テレビのブラウン管の塗料など、
多くのものに使われています。
どれもあまり目にとまる存在ではありません。
縁の下の力持ちとしてあらゆる産業の基礎になる分野で活躍しています。

黒鉛を調べようとしたとき、黒鉛を製造する、
「日本黒鉛」という会社のサイトが出てきました。

https://www.n-kokuen.com/graphite/

ここの情報が、一番わかりやすかったです。
会社は、私が住んでいる滋賀県大津市にあるのですが、
とても実直な印象を受けました。

グラファイトらしさは、鉛筆の芯に、とてもよく表現されていると思います。
グラファイトという名前もギリシャ語のGraphein(書く)というのが語源のようです。
なぜ、鉛筆の芯は、書けるのでしょうか?
グラファイトがとても柔らかくはがれやすい物質だということです。
紙の表面は、植物繊維が折り重なってできています。
その繊維の隙間に、柔らかくはがれて、
グラファイトの粉が入り込むことで字がかれるのです。

グラファイトと同じ「炭素」からでいているのに、
分子構造が違うだけで、まったく違った性質を持つものがあります。
ダイヤモンドです。
すべての炭素原子が共有結合しているダイヤは、
縦に、横に強く結びつき、硬くてカチカチ。
一方、グラファイトは、平面的にはしっかり結合しているけれど、
層と層は結合力が弱く、とてもはがれやすいのです。

さて、このような物質を原料にするレメディにマッチしそうな人は?
「なんだか地味で・・・」
「身を粉にして働くイメージ」
「あまり色気がない」
「社会に役立つ人」
生徒さんたちからは、このような意見が出ました。

身体症状で有名なことは、「皮膚症状」です。乾燥したり、
肥厚したりしてひび割れる皮膚。不健康でちょっとした傷にも化膿したり、
治りが遅かったりします。アトピー性皮膚炎的な方も多いです。

皮膚といえばSulph.が有名ですが、Sulph.の人が暑がりなのに対して、
Graph.の人は寒がり。Sulph.の人が甘いものやスパイシーなものを好みますが、
Graph.は甘いものや塩辛いものを好まず刺激の少ないものをほしがります。
食欲旺盛で、空腹で悪化するのも似ています。
また、Graph.の人は、やや肥満気味。
消化器系にも問題を持ちやすく、鼓腸性の消化不良や便秘。
黒鉛は黒または灰色ですが、Graph.も、あまり色気のない人。
男女とも性交を嫌いがちで、男性の勃起不全にもよく適します。

古典的なGraph.のマテリア・メディカでは、シンプルで、あまり
深刻には悩まない人とされています。
地味な黒鉛の原石を思わせるような人かもしれません。

Focus(マテリアメディカ)の精神症状では・・・

IRRESOLITION(決断できない) TIMIDITY(恥ずかしがり)
Lac of self confidence(自信のなさ) Doubts(疑い深い)
という言葉が並びます。

これらの症状に高得点で出てくる共通のレメディは、控えめで自信なさげなタイプです。
加えて、気分の変わりやすさや気難しさを持ち、泣いたり感情表現する人。
見方によっては、Puls.のようでもあります。
しかし、Puls.が泣くのは、人の気を引くためですが、
Graph.はどうしたらいいのかがわからなくて泣きます。

Graph.のような鉱物レメディを理解する場合、元素周期律上では、
どこにいる人なのかという見方をすると理解が深まることがあります。
(専門コース高学年レベルですが・・)

Graph.は、「炭素」です。
「炭素」は、ホメオパシーの周期律表では、第2シリーズの10番目に当たります。
第2シリーズは、出産の過程になぞらえられて考えたりします。
陣痛が始まり、進んでいく中でのちょうど真ん中あたり。
胎児として子宮にとどまることはできないが、出て行く前の戸惑い・・・
そういうレベルにあると受け止めます。
そこから、「自己価値への疑問」というテーマが見えて来ます。

私は、生まれて、この世で生きてゆく価値があるのかどうか?

決断力のなさ、臆病さ、疑い深さ、自信のなさ、
心の変わりやすさの背景にあるのは、「自己価値への疑問」です。

「自己価値への疑問」という感覚は、ダイヤモンド(炭素)にもあります。
硬くて光り輝くダイヤモンドと柔らかくて黒いグラファイト。
レメディになると、こういった特徴は症状に反映します。
しかし、ダイヤを必要とする人は、グラファイトの人とはやはり違って、光った存在感。
でも、ダイヤモンドも「自己価値」について自信がなく、
グラファイト同様、苦しんでいる人です。

グラファイトは、勤勉である点でCalc.(カルク・カルブ)にも似ています。
しかし、Calc.が生活の安定の不安から勤勉であるのに対して、
グラファイトの勤勉さは、自分の価値を守るため、
というところからきているのだと思います。

1 / 3512345...102030...最後 »