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2017年8月授業報告(1年生~初級コース)

人体図

8月26日(土)27日(日)

今月は、「生徒さんの近況報告」「先月のレメディの復習」「オルガノン学習§43~51」「今月のレメディ学習:Sulph.Lyc.Sil.」「ホメオパシー基本原理~全体像とSRP」を学びました。授業の最後に「夏の課題」を手渡しして、今月の授業を終えました。


「ホメオパシー基本原理~全体像とSRP」

最初に、先月学んだ「罹病性(感受性)」のおさらいから始めました。

 

全体像

ホメオパシーと通常医学(アンチパシー・アロパシー)では、病に対する観方・捉え方がまったく違います。
通常医学では、病とは部分の故障のようなものであり、故障個所を修復したり、新しいものに交換することで対処しようとします。自動車の修理に似ています。
一方、ホメオパシーでは、病とは、生命力(いのち)が乱れている状態だと受けとめます。病の時には、人間全体(生体)が乱れていると考えます。ですから、乱れた生命力の状態を変化させて、本来の状態に戻そうとします。生命力の状態が健全な状態に戻ると自ずから生体全体の修復がなされるという考え方です。

ところが、生命力の乱れは、目には見えません。
でも、病の人をよく観察すると、心身全体にいくつかの「症状」として表現しています。人間の病は「症状」として目に見える形にしたり、感じられるようにして表現されています。病とは眼には見えない生命力の乱れであり、同時に「症状の全体像」のことです。

このことを、ハーネマンは『オルガノン』§7で述べています。この単元を読んで理解を深めました。

全体像の考え方を理解した上で、改めて、ホメオパシー、アンチパシー、アロパシーを比較しました。ホメオパシーでは、「症状の全体」に類似したレメディを選ぶことができます。通常医学では、アンチパシー(逆療法)をしようと努力していますが、部分の逆はあっても全体に対する逆というものはないため、結局は、心身のほとんどの部分でアロパシー(異種療法~人間の病とは無関係なことをする)になってしまいます。薬物に副作用があるのはこのためです。例えば、頭痛薬は頭痛を抑えます(逆療法)が、同時に胃を荒らしたりします。(異種療法~病とは無関係=副作用として出やすい)

 
(参考)オルガノン§7要約
適切なレメディを示唆してくれる唯一のものは、生命エネルギーの病的状態とも言える病の内的本性を反映した”症状の全体像”だけである。症状の部分ではなく、全体が除去すべきものである。

 

■SRP
ホメオパシーが通常医学と違う最も大きなことは「個別化」する療法だということです。
通常医学は一般化・標準化することが基本です。病名が決まれば、それに対する標準治療がなされます。出来るだけ多くの人にあるレベル以上の医療を施すのには、優れた方法だと思います。
一方、ホメオパシーは、その人全体をとらえる必要があるため「個別化(その人らしいこと)」します。同じ病名だからと言って、同じ対処法(レメディ)を使うとは限りません。その人に現れている特有の症状に注目して行きます。

その人特有の症状に注目するのが、「SRPに注目せよ!」ということです。
SRPとは次の言葉の頭文字です。
S=Striking(際立った/Strangeという表現をする人もいる)
R=Rare(まれな)
P=Pecuriar(特有の)

SRPの重要性については、ハーネマンは『オルガノン』§153で、明確に述べています。
その後に続く、ホメオパシーの実践時の留意点でも、このSRPについて注目するように繰り返し延べています。

「全体像」という視点はとても大切ですが、全体というものは実にとらえにくいものです。それをカバーしてくれるのが、このSRPというもう一つの視点です。

ホメオパスは、「症状の全体像」を捉えつつ、同時に「SRP」を捉える必要があります。そのあたりには、いくつかのコツがあることを伝えました。

最後に、オルガノン§153を読んで、今月のホメオパシー基本原理の講義を終えました。

 
(参考)オルガノン§153要約
SRPとは、奇妙な・特有の・異常な・まれな特徴的症状。SRPだけに目を向けても良い。
ありふれた症状は注目には値しない。特徴的な症状に注目すること!