今月の活動

『Causticum. コースティカム  水酸化カリウム』

大津祭2小

10月に入ると、長く居座った厳しい暑さが去り、急に秋の冷え込みがやってきました。

皆さん、いかがお過ごしでしょうか? CHKの荻野千恵美です。
10月は、お祭りの季節でもあります。

私の住む大津市でも、10月7日(土)8日(日)に「大津祭」がありました。
大津祭は400年の伝統を持つ湖国三大祭の1つで、国指定重要無形文化財に指定されて
います。13基の絢爛豪華な曳山が、優雅なお囃子を奏でながら、からくり人形を操り、
大津市内を巡行します。

https://www.sankei.com/article/20231008-YYRM6IMBPROSJHVQP5F5AV4CBM/

私たちの家は、旧東海道沿いにあり、町内に「月宮殿山」「源氏山」の2基の鉾が建ち
ます。
夏の間中、日が暮れた頃、近くの町家の二階には、赤い提灯が点り、祭りに向けて
お囃子の稽古の音が聞こえてきました。
近所にある私の大好きな魚屋のおじさんは、大津祭をライフワークにしていて、祭りが
近づくに連れそわそわと落ち着かない日を過ごしていました。

私たちは、毎週末土日に、専門コースの授業がありますから、お祭りを楽しむことは、
はなからあきらめていました。
でも、10月7日土曜日の夜、授業を終えての帰り道に、思いがけなくお祭りの賑わいに
間に合いました。
大津駅を降り、我家のある京町通まできた夜8時半ごろ、ちょうど宵宮(前夜祭)の
終わりがけだったようでした。
華やかな大吊提、美しく飾られた鉾、楽しげに奏でられるお囃子、秋の夜風に吹かれて
そぞろ歩く家族ずれ・・・しばらく、祭りの賑わいを楽しみ、月宮殿山の粽(ちまき)
を買って帰りました。まもなく部屋に着くと、すでにお囃子の音は消えていました。
もう9時を過ぎていました。

観光客でごった返すようなお祭りではない、程よい人出の大津祭。
いつまでも、続いてほしいなと思いました。
今回は、先月の国際セミナー(講師:ジェレミーシェア先生)で取り上げられたレメ
ディをご紹介します。

(つい最近、ブログに書いたものです。)

https://ameblo.jp/sunny-garden/entry-12822787288.html

『Causticum コースティカム  水酸化カリウム』

このレメディはポリクレストレメディの1つです。
多くの組織に起きる様々な症状に対して活かせるレメディです。

全体像がマッチすれば、いろんな不調悩みを抱えてやってくるクライアントさんに変化をもたらすことができるレメディだと言われていますが、私には、理解しにくいレメディで、授業でも、自分がこのレメディ学習を担当する際、いつも苦手だなあと感じていました。
原料は、水酸化カリウムと言われています。
「ハーネマンが独自に調合した化合物由来のレメディで、消石灰と硫酸水素カリウムの混合物」と臨床家のためのマテリアメディカには書かれていますが、その原料から立ちのぼるイメージとマテリアメディカに出てくる症状像を重ねることが難しいのです。

例えば、Sulph.サルファ―は硫黄から作られるレメディです。硫黄が多く含まれている
火山のイメージに、Sulph.の症状像は重なります。
また、Acon.アコナイトは、その原料が、強い特性を持つことや、生息地である高山の環境や花の姿のイメージは、Acon.の症状像と重なります。

どうすれば、消石灰と硫酸水素カリウムのイメージから、Caust.の症状像を重ねることができるのでしょうか?

でも、2018年から3年余り学んだダイナミススクールでジェレミー先生のCaust.の授業を受け、この悩みは解決しました。そんなこともあり、今年の国際セミナーでも取り上げていただくことにしました。

ジェレミー先生の授業では、このレメディCaust.を作ったときのお話から始まります。
友達とアイルランドの浜辺で、火を焚いて、粉砕した大理石を火に投入し、一晩中燃やし続けたのだそうです。

大理石を一晩中燃やし続けたら?
有機物をすべて燃焼させた後に、最終的にはカリウム硫酸塩と反応させるもののようです。そこに残っている原材料は、元素的には、Kカリウム、Caカルシウム、S硫黄の要素を持つようですが、その中心は「燃え尽きたもの」だということ。水分はすべて蒸発し、燃え尽きて冷えている。

Caustの症状像の中心も、そういったところにあります。

ですから、慢性的状態に適したレメディということになります。100年前のアメリカの医師ホメオパスであるJ.T.ケント博士は、慢性疾患を持つ衰弱した高齢者のためのレメディであり、急性状態に使うのはまれだと、書き残しています。

通常は、ゆっくりと悪化し、徐々に衰弱していくような人に適します。
筋肉が弱り、やがて麻痺に至るような人。関節、筋肉、あらゆるものが硬くなって弱って行く。一般的な表現なら、リウマチ・多発性硬化症・デュピュイトラン拘縮などとなります。筋肉や腱が収縮・拘縮しコントロールできなくなってゆく(麻痺的)状態に適しています。

英国の元首相マーガレット・サッチャーの晩年の状態にマッチすると言う方もおられます。強い正義感・高い理想・弱者に対する支援への熱意を持つと同時に、その思いが強すぎて、それに心身ともに着いて行けず、やがて燃え尽きるというテーマを持ちます。

長時間大理石を燃やし続けて作るCaust.は、燃え尽きたような人。長年の苦痛、多くの問題を抱えてきて、徐々に心は弱り、時に認知機能が衰えることすらあり、身体は、徐々に冷えて乾燥して行きます。

私は、このレメディを10年ほど前にインドの巨匠サンカラン先生から処方提案されました。当時の私の悩みは、日常生活には特に支障のないレベルでしたが、時々足の腱が短くなったような感覚があり、ひどい時には裂けるような乾いた痛みを感じることでした。
日によって時間帯もまちまちに、足のあちこちに痛みを感じていました。

サンカラン先生から、このレメディを提案されたときは驚きました。

当時の私のCaust.への理解は・・・
MIND; IDEALISTIC 理想主義
MIND; INJUSTICE, cannot support 不正に耐えられない
MIND; FANATICISM  狂信的
などの精神症状が印象的で、社会活動家のようなイメージを持っていたのです。

私は、それとは、かなり違います。
自分の生活を日々送るのが精いっぱいの、母であり妻であるごく平凡な存在です。

私は、このレメディを何かにつけて飲むようになって1年くらいは改善がありませんでしたが、3年くらいたったある日、足の症状がすっかりなくなっていることに気が付きました。
言われてみれば、私は、体質的には、燃え尽きた大理石のように、乾いて冷えて、活力
がないのが特徴です。とても喉が渇きます。寒がりなのに冬でも冷たいものをごくごく
飲みたい。人の痛みには同情しがちで泣き虫。自分はどうであれ、家族には、必要以上
に心配してしまう。人生に対する様々なところで、意外にも理想は高いかもしれない。
やはり、Caust.かなあ・・・。

今年9月に開催されたCHK国際セミナーでは、ジェレミー先生は、Caust.について、
慢性的な症状を持つ高齢者のレメディとして紹介されましたが、私のような中年女性
にもいますし、子供にもとてもよく見られます。ポリクレストレメディですから。

また機会があれば、いろんなタイプのCaust.をご紹介したいと思います。
どうか、お楽しみに。